カミツキマッコウを見に行く

2016.6.16　ちょこっと追記


　「メガ恐竜展」に展示されていた"カミツキマッコウ_Brygmophyseter shigensis"を見に「松本市四賀化石館」に行ってきました。
学名が難しいな、ブリグモフィセテル・シゲンシスで良いのかな？最初、1995年にScaldicetus属として記載され、後の2006年に別属として分離された様です。「Brygmos」とはギリシャ語で「噛む」という意味で、「Physeter」とは現生のマッコウクジラの学名です。これらを合わせて「カミツキマッコウ」という和名になったんですね。


幕張メッセで展示されたカミツキマッコウ。全長7mと現生種よりも小さいですね。

　家から近い事もあって、何度か行った事があったんですが、全身骨格が復元されていたのは知らず、幕張で見て、こんな物がすぐ近くで出てたのかと驚きました。

　この標本は1986年に長野県四賀村（当時。現在は松本市と合併）で小学生が発見したもので、マッコウクジラとしては最も古い化石とされます。
　約13000年前に生息していたカミツキマッコウ（または発見場所からシガマッコウクジラとも）は、現生のマッコウクジラ_Physeter macrocephalusと比べると小型です。現生マッコウクジラの雄が16～18mといいますので、1/2位のサイズです。
　現生種との最大の違いは上顎にも歯がある事だそうです。マッコウクジラは上の顎に歯がないんですね。またアゴの筋肉が発達していて噛む力が強かったようです。この事から、カミツキマッコウはかなり獰猛なハンターだったと考えられているそうです。


「恐竜博2016」を見に行った際に撮ってきた現生マッコウクジラの骨格。
国立科学博物館にて。
本当だ、上顎に歯がない！！

　カミツキマッコウの生きていた姿は、現生マッコウクジラとはかなり異なっていた様です。
　マッコウクジラというと、ダイオウイカを食べている事が有名ですが、深海に潜る為に頭部に「脳油器官」というものを持っているそうです。これが冷える事で比重が重くなり深海までスムーズに潜っていけるとか。脳油器官が発達しているので、口先が尖らず四角い頭をしています。
　カミツキマッコウでは脳油器官が乗っている窪みがマッコウクジラ程発達していない為、頭部の形状も異なり、マッコウクジラほど前方に膨らんでいなかったと推定されるそうです。

　その他にも肩甲骨がマッコウクジラよりも幅広く原始的、マッコウクジラと椎骨の数が異なる、などの差異があるみたい。また、活発なハンターだと考えられるので、背びれの位置がマッコウクジラよりも前方にあり、シャチやサメの様に鋭角的な形状をしていたと推測されるそうです。

　以上、化石館でくれたパンフを参考にしました。昔はこんなに詳細なデータはなかったと思いますが、良い展示がされていました。また行こうかな。