幻獣の名を冠する恐竜シリーズ15 ジョバリア(1)
- 2015/09/20
- 22:27
ジョバリア・ティグイデンシス( Jobaria tiguidensis )は、1993年にシカゴ大学のポール・セレノ博士率いる発掘隊によって発掘された竜脚類で、1999年に命名されました。元々、1990年に実施された魚の化石を探すためのサハラ砂漠縦断計画に参加していたセレノ博士が、現地の遊牧民であるトゥアレグ族から骨が沢山露出している場所に案内してもらったのがきっかけと言います。その場所を発掘する為に1993年にニジェールで大規模な発掘を実施したのだそうです。

ジョバリアの発掘されたティユラレン累層 (Tiouraren Formation)は、当初、白亜紀前期オーテリーブ期~バーレム期(約1億3500万年前)のものと考えられました。
しかしジョバリアは同時期に他の地域で生息していた竜脚類と比べて、【歯が木の葉型で縁に鋸歯状の刻みが付いている】、【頸椎が12個。一般的な竜脚類では15個。より進化したアパトサウルス等では19個の頸椎を持つ】、【尾が短く、より進歩的な竜脚類と比べて柔軟性が低い】、【前脚が後脚よりもやや短い】といった点から原始的とされます。また、同じ地層で発見されたメガロサウルス類のアフロヴェナトルも古い系統だった事から、白亜紀前期のニジェールは他の地方では絶滅してしまった古い系統の恐竜達が最後まで生き残っていた場所だったのではないかと推測されました。
2009年にドイツの古生物学者オリヴァー・ロウハット博士らの論文でティユラレン累層の年代の再考がなされましたが、この研究では他に見つかっている堆積物からティユラレン累層はジュラ紀中期バトン期~オックスフォード期(1億6400万~1億6100万年前)の可能性が高いとの結果になっています。この為、ジョバリアとアフロヴェナトルは時代相応の恐竜であった事が分かりました。
※この辺の事情は、あまり日本で売っている本に書かれていません。以前は、ジョバリアは白亜紀前期の恐竜と紹介されていたのですが、ある時期からいきなりジュラ紀中期の恐竜であったとされる様になりました。図鑑なんかだとページを割けないのかもしれませんね。
ジョバリアは成体・亜成体合わせて8個体分の化石が発見されており、それらを統合した結果、体長は約21m、体重22t程と推定されています。セレノ博士は、ジョバリアの体重が後脚で主に支えられている事から、後脚で簡単に立ち上がれたかもしれないと考えている様です。
8個体の骨格を合わせると、全身のおよそ95%の骨が発見されています。これは竜脚類としては破格の保存率で、特に頭部が残っているのは竜脚類としては珍しい事です。竜脚類は体の大きさに比べて頭部が極めて小さい為、死後、すぐに失われてしまう事が多いそうです。頭部は系統解析を行う上で重要な特徴を多く持っている為、竜脚類の系統を探るのは大変なんだそうですよ。因みに、単純に骨が大きくて重いので研究が大変なんだとか。
参考文献:「恐竜学最前線10」学研、「世界最大の恐竜展2002」図録、「メガ恐竜展2015 巨大化の謎にせまる」図録、「アジア恐竜時代の幕開け ―巨大恐竜の進化―」図録、「THE PRINCETON FIELD GUIDE TO DINOSAURS」Gregory S. Paul Princeton University Press、Wikipedia「ジョバリア」、「トゥアレグ族」

ジョバリアの発掘されたティユラレン累層 (Tiouraren Formation)は、当初、白亜紀前期オーテリーブ期~バーレム期(約1億3500万年前)のものと考えられました。
しかしジョバリアは同時期に他の地域で生息していた竜脚類と比べて、【歯が木の葉型で縁に鋸歯状の刻みが付いている】、【頸椎が12個。一般的な竜脚類では15個。より進化したアパトサウルス等では19個の頸椎を持つ】、【尾が短く、より進歩的な竜脚類と比べて柔軟性が低い】、【前脚が後脚よりもやや短い】といった点から原始的とされます。また、同じ地層で発見されたメガロサウルス類のアフロヴェナトルも古い系統だった事から、白亜紀前期のニジェールは他の地方では絶滅してしまった古い系統の恐竜達が最後まで生き残っていた場所だったのではないかと推測されました。
2009年にドイツの古生物学者オリヴァー・ロウハット博士らの論文でティユラレン累層の年代の再考がなされましたが、この研究では他に見つかっている堆積物からティユラレン累層はジュラ紀中期バトン期~オックスフォード期(1億6400万~1億6100万年前)の可能性が高いとの結果になっています。この為、ジョバリアとアフロヴェナトルは時代相応の恐竜であった事が分かりました。
※この辺の事情は、あまり日本で売っている本に書かれていません。以前は、ジョバリアは白亜紀前期の恐竜と紹介されていたのですが、ある時期からいきなりジュラ紀中期の恐竜であったとされる様になりました。図鑑なんかだとページを割けないのかもしれませんね。
ジョバリアは成体・亜成体合わせて8個体分の化石が発見されており、それらを統合した結果、体長は約21m、体重22t程と推定されています。セレノ博士は、ジョバリアの体重が後脚で主に支えられている事から、後脚で簡単に立ち上がれたかもしれないと考えている様です。
8個体の骨格を合わせると、全身のおよそ95%の骨が発見されています。これは竜脚類としては破格の保存率で、特に頭部が残っているのは竜脚類としては珍しい事です。竜脚類は体の大きさに比べて頭部が極めて小さい為、死後、すぐに失われてしまう事が多いそうです。頭部は系統解析を行う上で重要な特徴を多く持っている為、竜脚類の系統を探るのは大変なんだそうですよ。因みに、単純に骨が大きくて重いので研究が大変なんだとか。
参考文献:「恐竜学最前線10」学研、「世界最大の恐竜展2002」図録、「メガ恐竜展2015 巨大化の謎にせまる」図録、「アジア恐竜時代の幕開け ―巨大恐竜の進化―」図録、「THE PRINCETON FIELD GUIDE TO DINOSAURS」Gregory S. Paul Princeton University Press、Wikipedia「ジョバリア」、「トゥアレグ族」
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