幻獣の名を冠する恐竜シリーズ15 ジョバリア(2)
- 2015/09/22
- 00:20
ジョバリアの系統としては、①「基盤的なマクロナリア」とされますが、②「基盤的な新竜脚類」、あるいは③「真竜脚類だが新竜脚類ではない」という様に諸説あるそうです。いずれにしても、生息年代がジュラ紀中期に遡った事で、どの説でも違和感はなくなりました。
最も広く受け入れられているのは「基盤的マクロナリア」という説の様です。マクロナリアというのは、カマラサウルス類、ブラキオサウルス類、ティタノサウルス類を含む系統で、その意味は「広い鼻の孔」です。いずれの恐竜達もポッコリと前方に突き出した広い鼻の孔を持っており、ジョバリアも同様です。

福井県立恐竜博物館所蔵のジョバリアの頭骨レプリカ。鼻の孔が非常に大きいのが分かります。
他にも色々な分類名が出てきたのでザックリ説明しますと、新竜脚類は「マクロナリア+ディプロドコイデア」といった感じです。先述したマクロナリアとディプロドクスの仲間(ディプロドクス科、ディクラエオサウルス科、レッバキサウルス科)を含む進歩的な竜脚類といった意味です。
真竜脚類はヴルカノドン等の原始的な竜脚類よりも進歩的な竜脚類を含む広い分類群で、先述の新竜脚類以外にはマメンチサウルス類やシュノサウルス、ケティオサウルス等の原始的な種類も含んでいます。今年の夏に幕張メッセで開催されたメガ恐竜展の目玉であったトゥリアサウルスもこの真竜脚類とされます。

そういえば、トゥリアサウルスの頭部はジョバリアに似ているように見えましたが、似ているというよりも似せたと言った方が正確かもしれません。
以下、英語版WikipediaのSauropodaのページに掲載されているクラドグラムを参考に作ってみたものです。ジョバリアの系統的な位置が何となくわかりますでしょうか。

①とか②と書いてあるのは、1行目に書いたのと対応した位置です。
ジョバリアの元ネタはトゥアレグ族の神話に登場するジョバール(Jobarジョバーとも)という神秘的な動物とされます。しかし、それ以上は調べても姿や逸話が何にも出てきませんでした。マイナーすぎ。種小名は発見された場所近くにあるティグイディの崖から取られているそうです。
トゥアレグ族はベルベル人系の遊牧民で、Wikipediaによるとサハラ交易を支えたが、しばしば商隊を襲った為、好戦的な民族として恐れられたとあります。ベルベル人の宗教としては古代エジプトの影響を受けた太陽神アモンの信仰があり、ミイラ造りやピラミッド等の建設もあった様です。その後はフェニキアやユダヤの影響を受け、現在ではほとんどの人がイスラム教を信仰しているという事です(男性が顔をベールで隠し、女性が素顔をさらしているそうで、他のイスラム圏と男女逆になっているそうです)。そういった流れからすると、ワニとかを神格化したような怪物か竜みたいなものかもしれません。
参考文献:「恐竜学最前線10」学研、「世界最大の恐竜展2002」図録、「メガ恐竜展2015 巨大化の謎にせまる」図録、「アジア恐竜時代の幕開け ―巨大恐竜の進化―」図録、「THE PRINCETON FIELD GUIDE TO DINOSAURS」Gregory S. Paul Princeton University Press、Wikipedia「ジョバリア」、「トゥアレグ族」
最も広く受け入れられているのは「基盤的マクロナリア」という説の様です。マクロナリアというのは、カマラサウルス類、ブラキオサウルス類、ティタノサウルス類を含む系統で、その意味は「広い鼻の孔」です。いずれの恐竜達もポッコリと前方に突き出した広い鼻の孔を持っており、ジョバリアも同様です。

福井県立恐竜博物館所蔵のジョバリアの頭骨レプリカ。鼻の孔が非常に大きいのが分かります。
他にも色々な分類名が出てきたのでザックリ説明しますと、新竜脚類は「マクロナリア+ディプロドコイデア」といった感じです。先述したマクロナリアとディプロドクスの仲間(ディプロドクス科、ディクラエオサウルス科、レッバキサウルス科)を含む進歩的な竜脚類といった意味です。
真竜脚類はヴルカノドン等の原始的な竜脚類よりも進歩的な竜脚類を含む広い分類群で、先述の新竜脚類以外にはマメンチサウルス類やシュノサウルス、ケティオサウルス等の原始的な種類も含んでいます。今年の夏に幕張メッセで開催されたメガ恐竜展の目玉であったトゥリアサウルスもこの真竜脚類とされます。

そういえば、トゥリアサウルスの頭部はジョバリアに似ているように見えましたが、似ているというよりも似せたと言った方が正確かもしれません。
以下、英語版WikipediaのSauropodaのページに掲載されているクラドグラムを参考に作ってみたものです。ジョバリアの系統的な位置が何となくわかりますでしょうか。

①とか②と書いてあるのは、1行目に書いたのと対応した位置です。
ジョバリアの元ネタはトゥアレグ族の神話に登場するジョバール(Jobarジョバーとも)という神秘的な動物とされます。しかし、それ以上は調べても姿や逸話が何にも出てきませんでした。マイナーすぎ。種小名は発見された場所近くにあるティグイディの崖から取られているそうです。
トゥアレグ族はベルベル人系の遊牧民で、Wikipediaによるとサハラ交易を支えたが、しばしば商隊を襲った為、好戦的な民族として恐れられたとあります。ベルベル人の宗教としては古代エジプトの影響を受けた太陽神アモンの信仰があり、ミイラ造りやピラミッド等の建設もあった様です。その後はフェニキアやユダヤの影響を受け、現在ではほとんどの人がイスラム教を信仰しているという事です(男性が顔をベールで隠し、女性が素顔をさらしているそうで、他のイスラム圏と男女逆になっているそうです)。そういった流れからすると、ワニとかを神格化したような怪物か竜みたいなものかもしれません。
参考文献:「恐竜学最前線10」学研、「世界最大の恐竜展2002」図録、「メガ恐竜展2015 巨大化の謎にせまる」図録、「アジア恐竜時代の幕開け ―巨大恐竜の進化―」図録、「THE PRINCETON FIELD GUIDE TO DINOSAURS」Gregory S. Paul Princeton University Press、Wikipedia「ジョバリア」、「トゥアレグ族」
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