幻獣の名を冠する恐竜シリーズ16 アダサウルス(1)
- 2015/10/04
- 18:51
アダサウルス・モンゴリエンシス( Adasaurus mongoliensis )は、モンゴルにあるネメグト盆地のブギンツァフ(”待ち伏せの崖”という意味だそうです)で発見され、1983年にリンチェン・バルスボルド博士により記載されたドロマエオサウルス科の小型肉食恐竜です。本種が発見されたネメグト累層は年代がはっきりしないとの事で、だいたいカンパニア期後期~マーストリヒト期前期(7200万年~6600万年前)くらいに生息していたと考えられています。同年代の恐竜として、タルボサウルス、サウロロフス、オピストコエリカウディアなどがいます。
ホロタイプIGM 100/20は頭骨の後ろ半分、脊椎、骨盤、第2中手骨、後脚の一部からなり、第2の標本IGM 100/51は後脚や尾椎等で構成されます。推測される体長は1.8~2mほど、体重は15kg程度とされます。これらの標本はモンゴルのウランバートルにあるモンゴル地質研究所が所蔵しているそうです。
本種の特徴として、後脚の第2末節骨(ラプトルの特徴である巨大な爪)が小さいという点が挙げられます。ほぼ同じサイズのデイノニクスと比べると1/3しかないそうです。グレゴリー・ポール博士によると、この点でアダサウルスとドロマエオサウルスは良く似ていると言います。また、アダサウルス、ドロマエオサウルスはヴェロキラプトルなどと比べると骨太で全体的にガッシリしており、頭部がずっと幅広である点などで異なると言います。
この様な差は、捕食行動の差に起因するかもしれません。ドロマエオサウルスは後脚の爪が小さい為、噛みつく事がメインの攻撃手段だったかもしれないとポール博士は考えています。その為か、ヴェロキラプトルの近縁種(リンヘラプトルやツァーガンなど)とドロマエオサウルスの近縁種(ユタラプトルやアキロバトルなど)では歯の形状に差があるそうです。ドロマエオサウルス類では歯の鋸歯(歯の縁にある細かなギザギザ)の大きさが歯の前側と後ろ側で同じであるのに対し、ヴェロキラプトル類では後ろ側の鋸歯が著しく大きいと言います。
アダサウルスは先に述べた様な特徴(骨太でガッシリしている、後脚の第2指の末節骨が小さい)から、ドロマエオサウルス科の中でもドロマエオサウルスに近縁であるとされ、ドロマエオサウルス亜科に分類されてきました。しかし、最近の研究によるとヴェロキラプトルに近縁であり、ヴェロキラプトル亜科に含まれるとされる様です。

ヴェロキラプトル亜科とされてきているので、顔は細目に。
Wikipediaから文献を辿ってみたところ、2009年に出たヘスペロニクス・エリザベサエ( Hesperonychus elizabethae )の論文や、ユタ州で発見され2012年に記載されたドロマエオサウルス亜科のユルゴヴキア・ドエリンギ( Yurgovuchia doellingi )の論文では、アダサウルスはヴェロキラプトル亜科となっています。お恥ずかしい事ですが、どちらの論文も斜め読みなので、具体的にどういう点でアダサウルスがヴェロキラプトル亜科となったのかはちょっとわかりません。
参考文献:「恐竜学最前線3」学研、「モンゴル大恐竜 ゴビ砂漠の大型恐竜と鳥類の進化」小林快次・久保田克博 北海道大学出版会、「大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異」図録、「肉食恐竜辞典」グレゴリー・ポール著 河出書房新、「THE PRINCETON FIELD GUIDE TO DINOSAURS」Gregory S. Paul Princeton University Press、Wikipedia「アダサウルス」
ホロタイプIGM 100/20は頭骨の後ろ半分、脊椎、骨盤、第2中手骨、後脚の一部からなり、第2の標本IGM 100/51は後脚や尾椎等で構成されます。推測される体長は1.8~2mほど、体重は15kg程度とされます。これらの標本はモンゴルのウランバートルにあるモンゴル地質研究所が所蔵しているそうです。
本種の特徴として、後脚の第2末節骨(ラプトルの特徴である巨大な爪)が小さいという点が挙げられます。ほぼ同じサイズのデイノニクスと比べると1/3しかないそうです。グレゴリー・ポール博士によると、この点でアダサウルスとドロマエオサウルスは良く似ていると言います。また、アダサウルス、ドロマエオサウルスはヴェロキラプトルなどと比べると骨太で全体的にガッシリしており、頭部がずっと幅広である点などで異なると言います。
この様な差は、捕食行動の差に起因するかもしれません。ドロマエオサウルスは後脚の爪が小さい為、噛みつく事がメインの攻撃手段だったかもしれないとポール博士は考えています。その為か、ヴェロキラプトルの近縁種(リンヘラプトルやツァーガンなど)とドロマエオサウルスの近縁種(ユタラプトルやアキロバトルなど)では歯の形状に差があるそうです。ドロマエオサウルス類では歯の鋸歯(歯の縁にある細かなギザギザ)の大きさが歯の前側と後ろ側で同じであるのに対し、ヴェロキラプトル類では後ろ側の鋸歯が著しく大きいと言います。
アダサウルスは先に述べた様な特徴(骨太でガッシリしている、後脚の第2指の末節骨が小さい)から、ドロマエオサウルス科の中でもドロマエオサウルスに近縁であるとされ、ドロマエオサウルス亜科に分類されてきました。しかし、最近の研究によるとヴェロキラプトルに近縁であり、ヴェロキラプトル亜科に含まれるとされる様です。

ヴェロキラプトル亜科とされてきているので、顔は細目に。
Wikipediaから文献を辿ってみたところ、2009年に出たヘスペロニクス・エリザベサエ( Hesperonychus elizabethae )の論文や、ユタ州で発見され2012年に記載されたドロマエオサウルス亜科のユルゴヴキア・ドエリンギ( Yurgovuchia doellingi )の論文では、アダサウルスはヴェロキラプトル亜科となっています。お恥ずかしい事ですが、どちらの論文も斜め読みなので、具体的にどういう点でアダサウルスがヴェロキラプトル亜科となったのかはちょっとわかりません。
参考文献:「恐竜学最前線3」学研、「モンゴル大恐竜 ゴビ砂漠の大型恐竜と鳥類の進化」小林快次・久保田克博 北海道大学出版会、「大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異」図録、「肉食恐竜辞典」グレゴリー・ポール著 河出書房新、「THE PRINCETON FIELD GUIDE TO DINOSAURS」Gregory S. Paul Princeton University Press、Wikipedia「アダサウルス」
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