幻獣の名を冠する恐竜シリーズ18 マイアサウラ(2)_元ネタ
- 2015/10/29
- 01:33
マイアサウラの元ネタは、ギリシャ神話に登場する女神マイア_Maiaですが、図鑑などを見ても、大抵「良い母親トカゲ」とか「優しいお母さんトカゲ」という風に訳されており、マイアに由来する事が書かれていません。中にはあるのかもしれませんが、私はその様な書籍を見た事がないです。

マイアのイメージ。他の神様たちと違って、角がある、とか羽が生えてる、とか特徴がないので、本当にただの良いお母さんというイメージです。
さて、マイアについてですが、この女神(またはニンフ)はティターン神族のイアペトスの息子、巨人アトラスの娘です。アトラスと言えば、ゼウスに逆らった罪により大地を支える罰を与えられた神で、その名前はアトランティックシーだとかアトラス山脈だとか、アトラスオオカブトだとか色々なところに使われています。英語で地図帳の事をアトラスというのは、昔は地図にアトラスの絵を描きいれるのが慣例だったからとか。メガテンシリーズを発売している会社もアトラスですね。
で、マイアはプレイアデスの7姉妹と呼ばれる7人の女神の長女です。その名の通り、プレイアデス星団の名前の由来です。このプレイアデスという言葉は、ギリシャ語の「航行する」という言葉に由来するそうで、冬が終わり、船が出せる春に輝く星である事から名付けられたとか。因みに日本語では昴といいますね。昴とは「1つにまとまっている」という意味で、元々は「統べる」に由来するそうです。確かに、星団という様に、7つ(肉眼では6つ)の星が固まっている様に見えます。
プレイアデスの7姉妹はアルカディアのキュレーネー山で生まれたとされます。プレイアデスの逸話として、彼女たちに恋い焦がれた猟師オリオンがストーカーばりに追いかけまわした為、プレイアデスたちはゼウスに願って星に変えてもらったのだそうです。しかし、オリオンも星座になって宇宙に上ってきた為、星になってもオリオンにストーキングされるハメになったとか。また、7姉妹といいつつ、肉眼で6個しか見えないのは、末の娘メロペ以外は皆、神の子を産んでいるのに、メロペは人間と結婚した為、恥じて輝きが弱くなっている為といいます。
マイアは大神ゼウスと交わり、オリュンポス12神の1柱、神々の伝令ヘルメスをもうけました。ヘルメスはローマ神話のメルクリウスに相当する神で、生まれたその日に太陽神アポロンの牛を盗むという、生まれながらに手癖の悪い神様です。逸話を見ていても、人の為になる、というより悪知恵が働くという印象ですね。
さて、マイアが良母とされる逸話は以下の様なものです。
【月の女神アルテミスに仕えるニンフに、カリストという美しい娘がいました。とにかく女好きな大神ゼウスは女神だろうが妖精だろうが人間だろうが美しい娘には片っ端から手を出しますが、カリストもまた狙いを定められてしまいます。アルテミスは処女性を貴ぶ女神であるので、その従者であるカリストを誘惑する為に、ゼウスはアルテミスに化けて近付きます。そうしてカリストはアルカスという息子を産みますが、この事がゼウスの妻ヘラにばれてしまいます。ヘラは嫉妬の女神とも言われ、ゼウスの浮気相手に苛烈な攻めを行う事で有名ですが、カリストに対してはその姿を大熊に変えてしまいました。残されたアルカスはマイアが面倒を見て育てたと言います。】
このエピソードからマイアサウラの名前に採用された様です。また、この話に関連してか、マイアという語は、ギリシャ語では助産師という意味もあるそうです。
【マイアに育てられたアルカスはアルカディアの王となり、またその地で最高の猟師になったと言います。そして森で熊に変えられたカリストと出合いますが、カリストは成長した息子を見て思わず近寄ってしまいます。アルカスからすれば、急にデッカイ熊が近寄ってきた訳ですから、そりゃ撃ち殺そうとします。
このままでは母を息子が射殺してしまうので、その場面を見ていたゼウスが2人を星座に変えて宇宙に上げたそうです。この逸話からカリストがおおぐま座、アルカスがこぐま座になったそうです。】
何だか、最後にゼウスがカリストとアルカスを救ったみたいな、無理くり良い話にしようとしてる感じがありますけど、元をただせば、全部お前のせいだろうとツッコミを入れたくなります。まぁ、ゼウスという神は、別に善なる神でもないので、人間が蹂躙されてもしょうがないのかもしれませんが。
参考文献:「ギリシア神話 神々と英雄に出会う」西村賀子著 中公新書、Wikipedia「Maia (mythology)」

マイアのイメージ。他の神様たちと違って、角がある、とか羽が生えてる、とか特徴がないので、本当にただの良いお母さんというイメージです。
さて、マイアについてですが、この女神(またはニンフ)はティターン神族のイアペトスの息子、巨人アトラスの娘です。アトラスと言えば、ゼウスに逆らった罪により大地を支える罰を与えられた神で、その名前はアトランティックシーだとかアトラス山脈だとか、アトラスオオカブトだとか色々なところに使われています。英語で地図帳の事をアトラスというのは、昔は地図にアトラスの絵を描きいれるのが慣例だったからとか。メガテンシリーズを発売している会社もアトラスですね。
で、マイアはプレイアデスの7姉妹と呼ばれる7人の女神の長女です。その名の通り、プレイアデス星団の名前の由来です。このプレイアデスという言葉は、ギリシャ語の「航行する」という言葉に由来するそうで、冬が終わり、船が出せる春に輝く星である事から名付けられたとか。因みに日本語では昴といいますね。昴とは「1つにまとまっている」という意味で、元々は「統べる」に由来するそうです。確かに、星団という様に、7つ(肉眼では6つ)の星が固まっている様に見えます。
プレイアデスの7姉妹はアルカディアのキュレーネー山で生まれたとされます。プレイアデスの逸話として、彼女たちに恋い焦がれた猟師オリオンがストーカーばりに追いかけまわした為、プレイアデスたちはゼウスに願って星に変えてもらったのだそうです。しかし、オリオンも星座になって宇宙に上ってきた為、星になってもオリオンにストーキングされるハメになったとか。また、7姉妹といいつつ、肉眼で6個しか見えないのは、末の娘メロペ以外は皆、神の子を産んでいるのに、メロペは人間と結婚した為、恥じて輝きが弱くなっている為といいます。
マイアは大神ゼウスと交わり、オリュンポス12神の1柱、神々の伝令ヘルメスをもうけました。ヘルメスはローマ神話のメルクリウスに相当する神で、生まれたその日に太陽神アポロンの牛を盗むという、生まれながらに手癖の悪い神様です。逸話を見ていても、人の為になる、というより悪知恵が働くという印象ですね。
さて、マイアが良母とされる逸話は以下の様なものです。
【月の女神アルテミスに仕えるニンフに、カリストという美しい娘がいました。とにかく女好きな大神ゼウスは女神だろうが妖精だろうが人間だろうが美しい娘には片っ端から手を出しますが、カリストもまた狙いを定められてしまいます。アルテミスは処女性を貴ぶ女神であるので、その従者であるカリストを誘惑する為に、ゼウスはアルテミスに化けて近付きます。そうしてカリストはアルカスという息子を産みますが、この事がゼウスの妻ヘラにばれてしまいます。ヘラは嫉妬の女神とも言われ、ゼウスの浮気相手に苛烈な攻めを行う事で有名ですが、カリストに対してはその姿を大熊に変えてしまいました。残されたアルカスはマイアが面倒を見て育てたと言います。】
このエピソードからマイアサウラの名前に採用された様です。また、この話に関連してか、マイアという語は、ギリシャ語では助産師という意味もあるそうです。
【マイアに育てられたアルカスはアルカディアの王となり、またその地で最高の猟師になったと言います。そして森で熊に変えられたカリストと出合いますが、カリストは成長した息子を見て思わず近寄ってしまいます。アルカスからすれば、急にデッカイ熊が近寄ってきた訳ですから、そりゃ撃ち殺そうとします。
このままでは母を息子が射殺してしまうので、その場面を見ていたゼウスが2人を星座に変えて宇宙に上げたそうです。この逸話からカリストがおおぐま座、アルカスがこぐま座になったそうです。】
何だか、最後にゼウスがカリストとアルカスを救ったみたいな、無理くり良い話にしようとしてる感じがありますけど、元をただせば、全部お前のせいだろうとツッコミを入れたくなります。まぁ、ゼウスという神は、別に善なる神でもないので、人間が蹂躙されてもしょうがないのかもしれませんが。
参考文献:「ギリシア神話 神々と英雄に出会う」西村賀子著 中公新書、Wikipedia「Maia (mythology)」
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