幻獣の名を冠する古生物シリーズ1 ベヘモトプス(1)
- 2015/12/12
- 06:46
恐竜以外の動物の中にも想像上の怪物や神々の名前を持ったものがいます。
その中で、今回は日本でも発見されているベヘモトプスについて紹介してみます。
ベヘモトプスは、旧約聖書に出てくる巨大な生物ベヘモトに因んで命名されました。ベヘモトはベヒーモス、バハムート等の読み方があり(バハムートはアラビア語読み)、FFでデカい肉食獣や竜として表現されていて、そっちの方がお馴染みかもしれません。
ベヘモトプスは束柱類という絶滅してしまった哺乳類の仲間です。束柱類ではデスモスチルスが有名ですが、この名前はボーン・ウォーズで有名なオスニエル・チャールズ・マーシュ博士によって1888年に命名されました。デスモス=束ねる、スチルス=円柱という意味だそうで、これを取って日本語で束柱類と訳されました。
束柱類の最たる特徴は歯です。名前の通り、円柱を6~9本束ねた様な形状をしていて、他の哺乳類に似ているものはいないと言います。この歯で何を食べていたのか未だに議論が続いており、海藻食、ゴカイや貝などの動物食、或は植物食などが提唱されている様です。
他にも前脚の尺骨と橈骨が融合している等、他の哺乳類とはかなり異なった姿をしています。現在に子孫を残せなかった系統ですが、ゾウ類やイワダヌキ類、海牛類と近縁とされ、近蹄類という仲間にまとめられています。
さて、ベヘモトプスです。
ベヘモトプスは1976年にワシントン州で模式種のベヘモトプス・プロテウス_Behemotops proteus が発見されました。発見されたのは若年個体の下顎の骨で、1986年に命名されました。
その後、日本の北海道足寄町で1980年に矢吹勝美、勝家兄弟によって化石を含む岩石が大量に発見され、ベヘモトプスと同定され、2000年にベヘモトプス・カツイエイ_Behemotops katsuieiと命名されました。

ベヘモトプス・カツイエイは約2500万年前の漸新世から発見された原始的な束柱類で、パレオパラドキシア科の原始的なメンバーと考えられています。
デスモスチルスやパレオパラドキシアとの違いは、「歯がこぶ状で円柱状になる前段階に見える」、「脳頭蓋の幅が狭い」、「大転子が骨頭よりも大きい」、「距骨滑車の溝が深い」といった様な物があるそうです。素人目に見て分かる違いとしては、ベヘモトプスの方が後世の仲間よりも頭部に厚みがあり、鋭い前歯を持っている点でしょうか。

束柱類は、その四肢の付き方にも議論があります。最初にデスモスチルスの全身骨格が発見されたのはサハリンであったので、ニッポノサウルスの研究で有名な北海道大学の長尾博士による復元がなされました。この時はウシ等を参考に5本指で四肢を体の下に伸ばした姿でした。1975年には京都大学の亀井博士によってサイやバクを参考にした復元がなされました。長尾復元に対し、亀井復元では指が4本になり腰の位置が下がっています。1984年には東大の犬塚博士によって解剖学的な考察から前脚を大きく開いた犬塚復元がなされました。現在では犬塚博士が提唱した四肢を大きく張り出した姿が主流の様ですので、それに従って絵を描いてみました。
しかし、絶滅哺乳類を描くのは難しいですね。恐竜と違って表情筋があるので頭部を描くのも一苦労です。サーベルタイガーやダイアウルスみたいに近縁種が現存している場合は良いですが、プラティペロドンやゴンフォテリウムみたいな現生種と大分違うゾウ類や束柱類なんて意味がわかりません。
参考文献:「恐竜発掘 過去からよみがえる巨大動物」図録
その中で、今回は日本でも発見されているベヘモトプスについて紹介してみます。
ベヘモトプスは、旧約聖書に出てくる巨大な生物ベヘモトに因んで命名されました。ベヘモトはベヒーモス、バハムート等の読み方があり(バハムートはアラビア語読み)、FFでデカい肉食獣や竜として表現されていて、そっちの方がお馴染みかもしれません。
ベヘモトプスは束柱類という絶滅してしまった哺乳類の仲間です。束柱類ではデスモスチルスが有名ですが、この名前はボーン・ウォーズで有名なオスニエル・チャールズ・マーシュ博士によって1888年に命名されました。デスモス=束ねる、スチルス=円柱という意味だそうで、これを取って日本語で束柱類と訳されました。
束柱類の最たる特徴は歯です。名前の通り、円柱を6~9本束ねた様な形状をしていて、他の哺乳類に似ているものはいないと言います。この歯で何を食べていたのか未だに議論が続いており、海藻食、ゴカイや貝などの動物食、或は植物食などが提唱されている様です。
他にも前脚の尺骨と橈骨が融合している等、他の哺乳類とはかなり異なった姿をしています。現在に子孫を残せなかった系統ですが、ゾウ類やイワダヌキ類、海牛類と近縁とされ、近蹄類という仲間にまとめられています。
さて、ベヘモトプスです。
ベヘモトプスは1976年にワシントン州で模式種のベヘモトプス・プロテウス_Behemotops proteus が発見されました。発見されたのは若年個体の下顎の骨で、1986年に命名されました。
その後、日本の北海道足寄町で1980年に矢吹勝美、勝家兄弟によって化石を含む岩石が大量に発見され、ベヘモトプスと同定され、2000年にベヘモトプス・カツイエイ_Behemotops katsuieiと命名されました。

ベヘモトプス・カツイエイは約2500万年前の漸新世から発見された原始的な束柱類で、パレオパラドキシア科の原始的なメンバーと考えられています。
デスモスチルスやパレオパラドキシアとの違いは、「歯がこぶ状で円柱状になる前段階に見える」、「脳頭蓋の幅が狭い」、「大転子が骨頭よりも大きい」、「距骨滑車の溝が深い」といった様な物があるそうです。素人目に見て分かる違いとしては、ベヘモトプスの方が後世の仲間よりも頭部に厚みがあり、鋭い前歯を持っている点でしょうか。

束柱類は、その四肢の付き方にも議論があります。最初にデスモスチルスの全身骨格が発見されたのはサハリンであったので、ニッポノサウルスの研究で有名な北海道大学の長尾博士による復元がなされました。この時はウシ等を参考に5本指で四肢を体の下に伸ばした姿でした。1975年には京都大学の亀井博士によってサイやバクを参考にした復元がなされました。長尾復元に対し、亀井復元では指が4本になり腰の位置が下がっています。1984年には東大の犬塚博士によって解剖学的な考察から前脚を大きく開いた犬塚復元がなされました。現在では犬塚博士が提唱した四肢を大きく張り出した姿が主流の様ですので、それに従って絵を描いてみました。
しかし、絶滅哺乳類を描くのは難しいですね。恐竜と違って表情筋があるので頭部を描くのも一苦労です。サーベルタイガーやダイアウルスみたいに近縁種が現存している場合は良いですが、プラティペロドンやゴンフォテリウムみたいな現生種と大分違うゾウ類や束柱類なんて意味がわかりません。
参考文献:「恐竜発掘 過去からよみがえる巨大動物」図録
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