幻獣の名を冠する恐竜シリーズ20 タンバティタニス(2)_元ネタ
- 2016/01/20
- 02:47
タンバティタニスに限らず、恐竜には"ティタン"という名を与えられたものが多くいますね。
多くは竜脚類で、代表はティタノサウルスですが、〇〇ティタンというのが、それは大量に命名されています。
ざっと見ても、アマルガティタン、アタカマティタン、バウルティタン、ゴビティタン、パルディティタン、ドンベイティタン、ルソティタン、ギラッファティタン、ドゥリアティタン、パラリティタン、フクイティタン等々、数えてもきりがない程です。
その他の系統では、獣脚類のカルカロドントサウルス科に"ティラノティタン"というのがいます。ティラノサウルス科の様にもティタノサウルス類の様にも聞こえて紛らわしいですね。
鳥脚類では、なくなってしまった"アナトティタン"と、某「絶対に働きたくないでござる」な流浪人の口癖みたいな"オロロティタン"がいます。
これらの恐竜の名前の元になっているティタンとは何かについてお話ししてみたいと思います。
ティタンとはギリシャ神話における第2世代の巨人神族である【ティターン神族】に因みます。ギリシャ神話では、原初に裂け目(カオス)があり、次に大地(ガイア)、奈落(タルタロス)、エロスが自然発生したとされます。
大地(ガイア)は独力で天空(ウラノス)、山々、海洋(ポントス)を生み出し、ウラノスを夫としました。ガイアとウラノスの間に生まれた6柱の男神(オケアノス、コイオス、クレイオス、ヒュペリオン、イアペトス、クロノス)と6柱の女神(テイア、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス)、合わせて12柱の巨躯の神々をティターン神族と言います。ティターンは巨人であった為、英語で巨人を意味するタイタンの語源であり、また「巨大な」とか「力強い」とかいう意味のタイタニックもティターンから派生した言葉です。
タイタニックといえば、氷山にぶつかって沈没してしまった豪華客船が思い出されるかと思いますが、当時として最大級のサイズであったことから、「巨大な」という事でタイタニック号と名付けられた様です。
ガイアとウラノスの子には、他にキュクロプス(サイクロプスとも。単眼の巨人。3人の何れもが雷に因む名を持つ。)とヘカトンケイル(百の腕を持つ巨人)がいます。いずれも巨人であるのが興味深いところですが、これらの巨人たちは父ウラノスに姿が醜悪である事を理由に嫌われ、タルタロスに幽閉されてしまいます。
子供たちに対する夫の振る舞いに怒ったガイアは、アダマント製の鎌を作り、ティターン12神達に「これで父を討つ者はいないか」と問います。ティターン達は皆、父ウラノスを恐れ手を挙げる者はいませんでしたが、末弟のクロノスがこの役を買って出ます。
ウラノスは夜(ニュクス)を伴って、ガイアと交じる為に天空から降りてきます(この交わりにより昼と夜が繰り返されるとギリシャ神話では解釈されたのですね)。この時、母ガイアの傍らに隠れていたクロノスは大鎌でウラノスの陰茎を切り落としました(ヒェッ)。
クロノスが切り落とした陰茎を背後に投げ捨てると、滴った血から、「エリュニス(復讐の女神たち)」、「ギガース(巨人。ジャイアントの語源)」、「メリアイ(トネリコの妖精)」が生まれ、陰茎が海に落下した際の泡から「美の女神アフロディーテ(英語でヴィーナス)」が誕生しました。
この件でクロノスは神々の王の座を父より奪い取ります。しかし、父ウラノスより「お前も同じく自分の子に王位を奪われるだろう」と予言されました。
クロノスは同じくティターン神族のレアを妻としますが、予言の成就を恐れ、生まれた子供(ハーデス、ポセイドン、ヘラ、デメテル、ヘスティア)を次々と飲み込んでしまいました。これを恨みに思ったレアは、クレタ島にてゼウスを出産した際、石を産着で包みクロノスに飲み込ませて騙します。秘密裏に育てられたゼウスは兄弟達に対する父の仕打ちに怒り、策を持って父から兄弟達を吐き出させます。
そしてゼウス達第3世代の神々はオリュンポス山に陣取り、ティターン神族はオトリュス山に陣取って、10年に亘る戦争が始まります。世界を震撼させ焼き尽くす程の激しい戦いは【ティタノマキア】と呼ばれます。
ですが、互いに不死身の神々による闘い、実力は伯仲し決着は付きません。ゼウスがガイアに相談すると、「タルタロスに幽閉されているキュクロプスとヘカトンケイルを解放し、味方に付けよ」との事。早速巨人たちをタルタロスから出してあげます。すると、感謝したキュクロプス達はゼウスに"雷霆"を、ポセイドンに"三又の戟"を、ハーデスに"姿を消す事ができる兜"を作成しました。これらの強力な武器を得たオリュンポス陣営はティターン神族をついに打ち破り、彼らをタルタロスに封じ込め、現在に至るという事です。
さて、ティターン神族の概要はこんなところですが、タンバティタニスの"ティタニス"とは"ティターン"の女性型という事です。何故女性型としたのかは分かりませんが、あんまりにも〇〇ティタンが氾濫しているので、独自性を出したいという事かもしれませんね。あと、地名+ティタンだとつまらないという恐竜ヲタに配慮したのかも?
まぁ、いずれにしても女性の巨人というのはあまりイメージが湧かないです。ティターン神族も半分は女神なんですがね。最近だと、「進撃の巨人」に女性型の巨人がいる様ですが、読んだ事ないもので、良く分かりません。
参考文献:「ギリシア神話 神々と英雄に出会う」西村賀子著 中央新書、Wikipedia「ティーターン」
多くは竜脚類で、代表はティタノサウルスですが、〇〇ティタンというのが、それは大量に命名されています。
ざっと見ても、アマルガティタン、アタカマティタン、バウルティタン、ゴビティタン、パルディティタン、ドンベイティタン、ルソティタン、ギラッファティタン、ドゥリアティタン、パラリティタン、フクイティタン等々、数えてもきりがない程です。
その他の系統では、獣脚類のカルカロドントサウルス科に"ティラノティタン"というのがいます。ティラノサウルス科の様にもティタノサウルス類の様にも聞こえて紛らわしいですね。
鳥脚類では、なくなってしまった"アナトティタン"と、某「絶対に働きたくないでござる」な流浪人の口癖みたいな"オロロティタン"がいます。
これらの恐竜の名前の元になっているティタンとは何かについてお話ししてみたいと思います。
ティタンとはギリシャ神話における第2世代の巨人神族である【ティターン神族】に因みます。ギリシャ神話では、原初に裂け目(カオス)があり、次に大地(ガイア)、奈落(タルタロス)、エロスが自然発生したとされます。
大地(ガイア)は独力で天空(ウラノス)、山々、海洋(ポントス)を生み出し、ウラノスを夫としました。ガイアとウラノスの間に生まれた6柱の男神(オケアノス、コイオス、クレイオス、ヒュペリオン、イアペトス、クロノス)と6柱の女神(テイア、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス)、合わせて12柱の巨躯の神々をティターン神族と言います。ティターンは巨人であった為、英語で巨人を意味するタイタンの語源であり、また「巨大な」とか「力強い」とかいう意味のタイタニックもティターンから派生した言葉です。
タイタニックといえば、氷山にぶつかって沈没してしまった豪華客船が思い出されるかと思いますが、当時として最大級のサイズであったことから、「巨大な」という事でタイタニック号と名付けられた様です。
ガイアとウラノスの子には、他にキュクロプス(サイクロプスとも。単眼の巨人。3人の何れもが雷に因む名を持つ。)とヘカトンケイル(百の腕を持つ巨人)がいます。いずれも巨人であるのが興味深いところですが、これらの巨人たちは父ウラノスに姿が醜悪である事を理由に嫌われ、タルタロスに幽閉されてしまいます。
子供たちに対する夫の振る舞いに怒ったガイアは、アダマント製の鎌を作り、ティターン12神達に「これで父を討つ者はいないか」と問います。ティターン達は皆、父ウラノスを恐れ手を挙げる者はいませんでしたが、末弟のクロノスがこの役を買って出ます。
ウラノスは夜(ニュクス)を伴って、ガイアと交じる為に天空から降りてきます(この交わりにより昼と夜が繰り返されるとギリシャ神話では解釈されたのですね)。この時、母ガイアの傍らに隠れていたクロノスは大鎌でウラノスの陰茎を切り落としました(ヒェッ)。
クロノスが切り落とした陰茎を背後に投げ捨てると、滴った血から、「エリュニス(復讐の女神たち)」、「ギガース(巨人。ジャイアントの語源)」、「メリアイ(トネリコの妖精)」が生まれ、陰茎が海に落下した際の泡から「美の女神アフロディーテ(英語でヴィーナス)」が誕生しました。
この件でクロノスは神々の王の座を父より奪い取ります。しかし、父ウラノスより「お前も同じく自分の子に王位を奪われるだろう」と予言されました。
クロノスは同じくティターン神族のレアを妻としますが、予言の成就を恐れ、生まれた子供(ハーデス、ポセイドン、ヘラ、デメテル、ヘスティア)を次々と飲み込んでしまいました。これを恨みに思ったレアは、クレタ島にてゼウスを出産した際、石を産着で包みクロノスに飲み込ませて騙します。秘密裏に育てられたゼウスは兄弟達に対する父の仕打ちに怒り、策を持って父から兄弟達を吐き出させます。
そしてゼウス達第3世代の神々はオリュンポス山に陣取り、ティターン神族はオトリュス山に陣取って、10年に亘る戦争が始まります。世界を震撼させ焼き尽くす程の激しい戦いは【ティタノマキア】と呼ばれます。
ですが、互いに不死身の神々による闘い、実力は伯仲し決着は付きません。ゼウスがガイアに相談すると、「タルタロスに幽閉されているキュクロプスとヘカトンケイルを解放し、味方に付けよ」との事。早速巨人たちをタルタロスから出してあげます。すると、感謝したキュクロプス達はゼウスに"雷霆"を、ポセイドンに"三又の戟"を、ハーデスに"姿を消す事ができる兜"を作成しました。これらの強力な武器を得たオリュンポス陣営はティターン神族をついに打ち破り、彼らをタルタロスに封じ込め、現在に至るという事です。
さて、ティターン神族の概要はこんなところですが、タンバティタニスの"ティタニス"とは"ティターン"の女性型という事です。何故女性型としたのかは分かりませんが、あんまりにも〇〇ティタンが氾濫しているので、独自性を出したいという事かもしれませんね。あと、地名+ティタンだとつまらないという恐竜ヲタに配慮したのかも?
まぁ、いずれにしても女性の巨人というのはあまりイメージが湧かないです。ティターン神族も半分は女神なんですがね。最近だと、「進撃の巨人」に女性型の巨人がいる様ですが、読んだ事ないもので、良く分かりません。
参考文献:「ギリシア神話 神々と英雄に出会う」西村賀子著 中央新書、Wikipedia「ティーターン」
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