幻獣の名を冠する古生物シリーズ3 タラッソドロメウス(2)_元ネタ
- 2016/02/07
- 01:47
タラッソドロメウスの種小名sethiは、エジプト神話でも最も重要視される「ペリオポリスの9柱神」の1柱、セト神に由来します。
セト神はSet、Seth、Setekhなど、色々な名称で呼ばれるそうですが、綴りからすると、セス_Sethが採用されたようです。
悪、砂嵐、戦争などを象徴する悪神ですが、強さの象徴でもあり、太陽神ラーの船を守る軍神としての側面もあり崇拝されたそうです。
有名なエピソードでは、兄で地上の王であったオシリス神に嫉妬し、その権力の座を奪う為、宴の席でオシリス神を箱に閉じ込めてナイル川に投げ込んで殺害してしまいます。
夫の死を嘆き悲しんだ女神イシスはオシリス神を探して旅に出、ついに亡骸を見つけ出します。そして魔術でオシリス神を復活させました。しかし、兄オシリス神の復活を知ったセト神は、女神イシスの留守を狙ってオシリス神を襲撃して殺害します。今度は復活できない様にとオシリス神の体を14個に分割してエジプト中にばらまいてしまいました。
これを知った女神イシスは悲しみにくれながらもオシリス神の破片を探し出し(男根だけは見つけられなかった)、それぞれ発見された地に埋葬したそうです。それらの場所はオシリス神の神殿が立てられ、巡礼の聖地として信仰を集めていたとか。
女神イシスは、なんやかんやでオシリス神を再度復活させますが、オシリス神はもはや地上のとどまらず、冥界に下って「死者の神」となりました。オシリス神はセト神にバラバラにされてしまった為、女神イシスにより包帯で巻かれてミイラになったそうです。この為、全身に包帯を巻いた姿で表されるといいます。
その後、セト神はオシリス神と女神イシスの息子、ホルス神と80年に亘って裁判(!!)で争う事となります。ホルス神は、オシリス神が死亡した後に女神イシスが懐妊した子供である為、本当にオシリス神の子供なのか、という最近話題の托卵、或は不倫に関連した裁判だったそうです。
ホルス神は父の敵討ちの為にセト神との死闘を演じ、2回の大戦争に勝利してエジプトの支配者となりました。敗北したセト神は地上を去り、地下世界で隠遁したといいます。
この様に、時代が下るにつれてセト神は扱いが悪くなっていったようで、中にはセト神がサタンのモデルではないかと主張する人もいるそうです。セト神の崇拝者を「セトの犬=セト・アン」と言い、これがヨーロッパに入って「セト・アン⇒セッタン⇒サタン」に変化したとか。いや、"サタン"ってヘブル語なんじゃ?
セト神の姿は、アンク(輪頭十字)と、権力・支配を意味する杖「ウアス」を持ったジャッカルの頭部の人間として知られます。

しかし、壁画などにあるセト神は、実はツチブタの頭部なのだそうです。余談ですが、ツチブタは頭骨が薄く、強く叩かれると死んでしまうらしいです。
タラッソドロメウスのページで少し書いたんですが、実際はセト神は大きい冠を被ってはおらず、良く似ているのはアメン神の方なのだそうです。ちなみにアメン神は"アンモナイト"の語源です。
参考文献:「世界神話辞典 世界の神々の誕生」大林太良、伊藤清司、古田敦彦、松村一男 編 角川ソフィア文庫、Wikipedia「セト」
セト神はSet、Seth、Setekhなど、色々な名称で呼ばれるそうですが、綴りからすると、セス_Sethが採用されたようです。
悪、砂嵐、戦争などを象徴する悪神ですが、強さの象徴でもあり、太陽神ラーの船を守る軍神としての側面もあり崇拝されたそうです。
有名なエピソードでは、兄で地上の王であったオシリス神に嫉妬し、その権力の座を奪う為、宴の席でオシリス神を箱に閉じ込めてナイル川に投げ込んで殺害してしまいます。
夫の死を嘆き悲しんだ女神イシスはオシリス神を探して旅に出、ついに亡骸を見つけ出します。そして魔術でオシリス神を復活させました。しかし、兄オシリス神の復活を知ったセト神は、女神イシスの留守を狙ってオシリス神を襲撃して殺害します。今度は復活できない様にとオシリス神の体を14個に分割してエジプト中にばらまいてしまいました。
これを知った女神イシスは悲しみにくれながらもオシリス神の破片を探し出し(男根だけは見つけられなかった)、それぞれ発見された地に埋葬したそうです。それらの場所はオシリス神の神殿が立てられ、巡礼の聖地として信仰を集めていたとか。
女神イシスは、なんやかんやでオシリス神を再度復活させますが、オシリス神はもはや地上のとどまらず、冥界に下って「死者の神」となりました。オシリス神はセト神にバラバラにされてしまった為、女神イシスにより包帯で巻かれてミイラになったそうです。この為、全身に包帯を巻いた姿で表されるといいます。
その後、セト神はオシリス神と女神イシスの息子、ホルス神と80年に亘って裁判(!!)で争う事となります。ホルス神は、オシリス神が死亡した後に女神イシスが懐妊した子供である為、本当にオシリス神の子供なのか、という最近話題の托卵、或は不倫に関連した裁判だったそうです。
ホルス神は父の敵討ちの為にセト神との死闘を演じ、2回の大戦争に勝利してエジプトの支配者となりました。敗北したセト神は地上を去り、地下世界で隠遁したといいます。
この様に、時代が下るにつれてセト神は扱いが悪くなっていったようで、中にはセト神がサタンのモデルではないかと主張する人もいるそうです。セト神の崇拝者を「セトの犬=セト・アン」と言い、これがヨーロッパに入って「セト・アン⇒セッタン⇒サタン」に変化したとか。いや、"サタン"ってヘブル語なんじゃ?
セト神の姿は、アンク(輪頭十字)と、権力・支配を意味する杖「ウアス」を持ったジャッカルの頭部の人間として知られます。

しかし、壁画などにあるセト神は、実はツチブタの頭部なのだそうです。余談ですが、ツチブタは頭骨が薄く、強く叩かれると死んでしまうらしいです。
タラッソドロメウスのページで少し書いたんですが、実際はセト神は大きい冠を被ってはおらず、良く似ているのはアメン神の方なのだそうです。ちなみにアメン神は"アンモナイト"の語源です。
参考文献:「世界神話辞典 世界の神々の誕生」大林太良、伊藤清司、古田敦彦、松村一男 編 角川ソフィア文庫、Wikipedia「セト」
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