幻獣の名を冠する古生物シリーズ4 タニファサウルス(1)
- 2016/02/17
- 21:44
何だかんだ忙しく、久々の更新になりました。

タニファサウルス(Taniwhasaurus)はニュージーランド、南極、日本で発見されている海トカゲの1種です。ニュージーランドで発見された種はTaniwhasaurus oweni、南極の種はTaniwhasaurus antarcticus、日本の種はTaniwhasaurus mikasaensisとされ、現状3種が有効とされている様です。白亜紀後期サントン期からカンパニアン期にかけて、おおよそ8300万年前位に生息していた動物で、6m程であったと推測されます。
海トカゲはオオトカゲ類と近縁な動物と言いますが、最近の研究ではヘビに近い動物とされている様です。大きな括りで言えば、トカゲやヘビの仲間って事ですね。白亜紀後期、魚竜が絶滅し、首長竜が衰退した事で一気に海を支配した海トカゲ類ですが、非常に大型になった様で、最大級のエイノサウルスでは17mにも達したそうです。
模式種のオーウェニ種はニュージーランドで発見された化石に基づいて1874年に命名されたと言いますので、かなり古くから知られている海トカゲ類ですね。名前の元であるタニファ(またはタニーワ)とはマオリ族の伝説にある水に潜む魔物だそうです。中生代の海を支配していたこれらの怪物に相応しい名前だと思います。
南極のアンタークティクス種は、ジェームズ・ロス島で発見された化石に基づいて2002年にラクマサウルス(Lakumasaurus)として記載されたそうですが、2007年に再解析された際にタニファサウルス属になった種です。
そして、日本で見つかっているミカサエンシス種ですが、これはエゾミカサリュウとして知られるものです。1977年に発見された際、日本初のティラノサウルス科と考えられた本種ですが(当時はエゾサウルス・ミカサエンシスという学名にするという話もあった)、後の研究により2008年にタニファサウルスの1種とされました。前前頭骨(前頭骨と上顎骨の間にある)が鼻孔の一部を形成する(?)という点でタニファサウルス属の特徴を示すそうですが、歯に溝がある点、前上顎骨と前頭骨のオーバーラップ度合、頬骨の形態等が異なると言います。
これまで南半球からのみ知られていたタニファサウルス属ですが、T.ミカサエンシスが記載された事でその生息域が一気に広がりました。陸の動物と違い、海岸沿いに分布を広げられるとは言え、南極から北海道まで生息しているとは驚きですね。
エゾミカサリュウについては、学術的な価値もさることながら、発見から海トカゲ類と判明するまでに様々な人間ドラマがあったそうです。その辺の事情は笹沢教一氏の「ニッポンの恐竜」集英社新書に詳しく書かれていますが、当初ティラノサウルス科とされた化石が海トカゲ類となってしまった事で地元では大変に落胆された様です。確かにネームバリューが全然違いますもんね。とは言え、エゾミカサリュウの化石は国の特別天然記念物にも指定されており、上記の通りタニファサウルス属が非常に広範囲に生息域を広げた属である事を示す貴重な化石です。学術的な価値はティラノサウルスに劣るものではないと思います。
いい加減な妄想を垂れ流すワタクシとしても一応は最新の研究結果を取り入れて描く事を心がけております。プログナトドンというモササウルス類から軟組織の印象が発見されていますので、それを参考にして尻尾やヒレを描いてみました。
また、モササウルス類は恐竜とは異なり、トカゲやヘビと同じく重なり合う鱗を持っていたそうなんですが、凄く細かかった様なので、ほとんどツルツルの表皮に見えたかもしれません。
後は耳がどうなのか良くわからなかったので、ヘビは耳の穴がないということと、有名イラストレーターが描かれた絵では耳の穴が描かれていないので、丸パクリしてしまいました。
参考文献:「ニッポンの恐竜」笹沢教一著 集英社新書、Wikipedia「Taniwhasaurus」、Caldwell MW, Konishi T, Obata I, Muramoto K. 2008. New species of Taniwhasaurus (Mosasauridae, Tylosaurinae) from the upper Santonian-lower Campanian (Upper Cretaceous) of Hokkaido, Japan. Journal of Vertebrate Paleontology 28 (2): 339-348.アブスト

タニファサウルス(Taniwhasaurus)はニュージーランド、南極、日本で発見されている海トカゲの1種です。ニュージーランドで発見された種はTaniwhasaurus oweni、南極の種はTaniwhasaurus antarcticus、日本の種はTaniwhasaurus mikasaensisとされ、現状3種が有効とされている様です。白亜紀後期サントン期からカンパニアン期にかけて、おおよそ8300万年前位に生息していた動物で、6m程であったと推測されます。
海トカゲはオオトカゲ類と近縁な動物と言いますが、最近の研究ではヘビに近い動物とされている様です。大きな括りで言えば、トカゲやヘビの仲間って事ですね。白亜紀後期、魚竜が絶滅し、首長竜が衰退した事で一気に海を支配した海トカゲ類ですが、非常に大型になった様で、最大級のエイノサウルスでは17mにも達したそうです。
模式種のオーウェニ種はニュージーランドで発見された化石に基づいて1874年に命名されたと言いますので、かなり古くから知られている海トカゲ類ですね。名前の元であるタニファ(またはタニーワ)とはマオリ族の伝説にある水に潜む魔物だそうです。中生代の海を支配していたこれらの怪物に相応しい名前だと思います。
南極のアンタークティクス種は、ジェームズ・ロス島で発見された化石に基づいて2002年にラクマサウルス(Lakumasaurus)として記載されたそうですが、2007年に再解析された際にタニファサウルス属になった種です。
そして、日本で見つかっているミカサエンシス種ですが、これはエゾミカサリュウとして知られるものです。1977年に発見された際、日本初のティラノサウルス科と考えられた本種ですが(当時はエゾサウルス・ミカサエンシスという学名にするという話もあった)、後の研究により2008年にタニファサウルスの1種とされました。前前頭骨(前頭骨と上顎骨の間にある)が鼻孔の一部を形成する(?)という点でタニファサウルス属の特徴を示すそうですが、歯に溝がある点、前上顎骨と前頭骨のオーバーラップ度合、頬骨の形態等が異なると言います。
これまで南半球からのみ知られていたタニファサウルス属ですが、T.ミカサエンシスが記載された事でその生息域が一気に広がりました。陸の動物と違い、海岸沿いに分布を広げられるとは言え、南極から北海道まで生息しているとは驚きですね。
エゾミカサリュウについては、学術的な価値もさることながら、発見から海トカゲ類と判明するまでに様々な人間ドラマがあったそうです。その辺の事情は笹沢教一氏の「ニッポンの恐竜」集英社新書に詳しく書かれていますが、当初ティラノサウルス科とされた化石が海トカゲ類となってしまった事で地元では大変に落胆された様です。確かにネームバリューが全然違いますもんね。とは言え、エゾミカサリュウの化石は国の特別天然記念物にも指定されており、上記の通りタニファサウルス属が非常に広範囲に生息域を広げた属である事を示す貴重な化石です。学術的な価値はティラノサウルスに劣るものではないと思います。
いい加減な妄想を垂れ流すワタクシとしても一応は最新の研究結果を取り入れて描く事を心がけております。プログナトドンというモササウルス類から軟組織の印象が発見されていますので、それを参考にして尻尾やヒレを描いてみました。
また、モササウルス類は恐竜とは異なり、トカゲやヘビと同じく重なり合う鱗を持っていたそうなんですが、凄く細かかった様なので、ほとんどツルツルの表皮に見えたかもしれません。
後は耳がどうなのか良くわからなかったので、ヘビは耳の穴がないということと、有名イラストレーターが描かれた絵では耳の穴が描かれていないので、丸パクリしてしまいました。
参考文献:「ニッポンの恐竜」笹沢教一著 集英社新書、Wikipedia「Taniwhasaurus」、Caldwell MW, Konishi T, Obata I, Muramoto K. 2008. New species of Taniwhasaurus (Mosasauridae, Tylosaurinae) from the upper Santonian-lower Campanian (Upper Cretaceous) of Hokkaido, Japan. Journal of Vertebrate Paleontology 28 (2): 339-348.アブスト
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