ティラノサウルス科_タルボサウルス(2) 成長と生態
- 2014/11/09
- 22:46
タルボサウルスはこれまでに非常に保存状態の良い化石が複数発見されています。北米でティラノサウルス類が発見される事が稀である事に比べると、モンゴルでなぜこんなに沢山タルボサウルスが見つかるのか、かなり謎とされています。しかも、幼体から老体まで各種の成長段階の化石が見つかる為、ティラノサウルス類の成長による外見の変化を研究するにはもってこいでした。
まず、頭部の主な変化を挙げると「細長かった頭部が厚く重厚になる」、「眼窩の上の骨(後眼窩骨)が厚くコブになる」、「丸かった眼窩が鍵状になる」、「薄かった歯が厚くバナナの様に丸みを帯びる」等があるそうです。また、若齢個体では非常に足が長く、特に足の速い動物の特徴でもある長い足の甲の骨(中足骨)が太ももの骨(大腿骨)よりも長いそうです(この特徴から、若い頃のタルボサウルスは相当に早く走れたかもしれません)。体が大きくなるにつれ、体重を支える為に足が相対的に短く頑丈になっていきました。




上から若い順に頭骨を並べてみました。段々とゴツくなっていくのが良くわかります。
タルボサウルスの成長の研究によってもたらされた重要な発見として、歯の数が挙げられます。各成長段階の個体の上顎骨を調べた結果、いずれも歯槽の数は12~13で、成長段階による歯の数の変化はなかった事が分かりました。これはティラノサウルスの子供ではないかとされるナノティランヌスの独自性を強く支持する結果です。ティラノサウルスは上顎骨に11~12本の歯を持ちますが、ナノティランヌスは14~15本の歯がある為です。
タルボサウルの食性を示す生痕化石として、植物食恐竜の骨に残されたタルボサウルスのものと思われる歯型が挙げられます。こういった化石を詳細に研究する事で狩りの証拠なのか、あるいは死骸を食べたのか、ある程度推測できるそうです。歯型が残った鳥脚類サウロロフスの化石では、二の腕の骨(上腕骨)の一部にのみ歯形が残っていたそうです。他の部分には歯形が残っていない事から、生きているサウロロフスを襲ったのではなく(もし生きていたなら、もっと体の色んな所に噛みついたことでしょう)、体の一部を残して砂とか泥に埋まってしまった死骸を食べたと推測できるそうです。また、長年謎の恐竜とされていたデイノケイルスの追加化石が見つかった際、その肋骨にタルボサウルスの歯型が残っていた事から、この大きなダチョウ恐竜も餌食になっていた事が判明しています。下顎の骨の関節具合がティラノサウルスとタルボサウルスでは異なるそうですが、これはもしかすると獲物の違いによるものかもしれません。当時のモンゴルにはティタノサウルス類の竜脚類が生息しており、これをタルボサウルスが襲っていた為かもしれないそうです。

タルボサウルスの想像図をもう一枚。背中に沿って羽毛が生えている様にしています。大人になったタルボサウルスは10m近くなり、最大級の個体は約12mと推定されるので、羽毛があったとしても体の一部にまばらに生えていたのがせいぜいと思われます。ただ、現生のゾウの研究では、体の大きな動物はちょっとだけ毛が生えている方が熱を上手く逃がす事ができる様です。砂漠に住んでいたタルボサウルスですから、少しでも涼しく過ごす為に羽毛を残していた可能性もあります。
参考文献:「大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異」図録、「大人の恐竜大図鑑」 土屋健著 洋泉社
まず、頭部の主な変化を挙げると「細長かった頭部が厚く重厚になる」、「眼窩の上の骨(後眼窩骨)が厚くコブになる」、「丸かった眼窩が鍵状になる」、「薄かった歯が厚くバナナの様に丸みを帯びる」等があるそうです。また、若齢個体では非常に足が長く、特に足の速い動物の特徴でもある長い足の甲の骨(中足骨)が太ももの骨(大腿骨)よりも長いそうです(この特徴から、若い頃のタルボサウルスは相当に早く走れたかもしれません)。体が大きくなるにつれ、体重を支える為に足が相対的に短く頑丈になっていきました。




上から若い順に頭骨を並べてみました。段々とゴツくなっていくのが良くわかります。
タルボサウルスの成長の研究によってもたらされた重要な発見として、歯の数が挙げられます。各成長段階の個体の上顎骨を調べた結果、いずれも歯槽の数は12~13で、成長段階による歯の数の変化はなかった事が分かりました。これはティラノサウルスの子供ではないかとされるナノティランヌスの独自性を強く支持する結果です。ティラノサウルスは上顎骨に11~12本の歯を持ちますが、ナノティランヌスは14~15本の歯がある為です。
タルボサウルの食性を示す生痕化石として、植物食恐竜の骨に残されたタルボサウルスのものと思われる歯型が挙げられます。こういった化石を詳細に研究する事で狩りの証拠なのか、あるいは死骸を食べたのか、ある程度推測できるそうです。歯型が残った鳥脚類サウロロフスの化石では、二の腕の骨(上腕骨)の一部にのみ歯形が残っていたそうです。他の部分には歯形が残っていない事から、生きているサウロロフスを襲ったのではなく(もし生きていたなら、もっと体の色んな所に噛みついたことでしょう)、体の一部を残して砂とか泥に埋まってしまった死骸を食べたと推測できるそうです。また、長年謎の恐竜とされていたデイノケイルスの追加化石が見つかった際、その肋骨にタルボサウルスの歯型が残っていた事から、この大きなダチョウ恐竜も餌食になっていた事が判明しています。下顎の骨の関節具合がティラノサウルスとタルボサウルスでは異なるそうですが、これはもしかすると獲物の違いによるものかもしれません。当時のモンゴルにはティタノサウルス類の竜脚類が生息しており、これをタルボサウルスが襲っていた為かもしれないそうです。

タルボサウルスの想像図をもう一枚。背中に沿って羽毛が生えている様にしています。大人になったタルボサウルスは10m近くなり、最大級の個体は約12mと推定されるので、羽毛があったとしても体の一部にまばらに生えていたのがせいぜいと思われます。ただ、現生のゾウの研究では、体の大きな動物はちょっとだけ毛が生えている方が熱を上手く逃がす事ができる様です。砂漠に住んでいたタルボサウルスですから、少しでも涼しく過ごす為に羽毛を残していた可能性もあります。
参考文献:「大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異」図録、「大人の恐竜大図鑑」 土屋健著 洋泉社
スポンサーサイト