ティラノサウルス科_アルバートサウルス(2) なくなった種
- 2014/11/19
- 10:38
アルバートサウルスの模式種はA.サルコファグス( Albertosaurus sarcophagus )ですが、他にも幾つかの種が記載されました。A.リブラトゥス、A.メガグラシリス、A.アルクトゥングイスです。現在、サルコファグス種以外は使用されていませんが、それぞれの経緯を見ていきましょう。
A.リブラトゥス( Albertosaurus libratus )は、元々ゴルゴサウルス・リブラトゥス( Gorgosaurus libratus )として1914年にローレンス・ランベ博士によって記載された肉食恐竜です。1970年にデイル・ラッセル博士による再評価で、アルバートサウルスと属を分ける程の差はないとされ、アルバートサウルス属に入れられました。その後、1990年にロバート・バッカー博士により、やはり別属であると結論され、現在では多くの研究者が認めるところとなっています。この為、"アルバートサウルス"・リブラトゥスはなくなり、ゴルゴサウルス・リブラトゥスに戻っています。
A.メガグラキリス( Albertosaurus megagracilis )は1978年にモンタナ州のヘル・クリーク累層(マーストリヒト期最末期)から発見された部分的な骨格に与えられた名前です。
この標本はラルフ・モルナー博士により、暫定的にアルバートサウルス・ランセンシス(つまりゴルゴサウルス・ランセンシス=ナノティランヌス)とされましたが、1988年にグレゴリー・ポール博士によってアルバートサウルス・メガグラキリス("大きくて華奢な"という意味)と命名されました。1995年にはJ・オルシェフスキー氏によって目の上の角の形状がアルバートサウルスとは異なっている事を根拠にディノティランヌス・メガグラシリス( Dinotyrannus megagracilis )と改名されたのですが、現在ではティラノサウルスの亜成体であったことが分かっており、この名前は消滅してしまいました。

アルバートサウルス・メガグラシリスことディノティランヌスのスケッチ。今ではティラノサウルスの青年期の個体と考えられています。
A.アルクトゥングイス( Albertosaurus arctunguis )は1928年にアルバータ州のホースシュー・キャニオン累層で発見された骨格に対しロイヤル・オンタリオ博物館のウィリアム・A・パークス博士が付けた名前です。種小名は「細い鉤爪」といった意味です。グレゴリー・ポール博士はA.アルクトゥングイスはA.サルコファグスよりもほっそりしている、腕および手の爪が短い、後足がより長い等の違いを挙げています。しかし、現在ではほとんどの研究者が個体差と考えており、A.サルコファグスの新参異名とされています。
参考文献:「恐竜学最前線9」学研、「肉食恐竜辞典」グレゴリー・ポール著 河出書房新社、「新恐竜伝説」金子隆一著 早川書房
A.リブラトゥス( Albertosaurus libratus )は、元々ゴルゴサウルス・リブラトゥス( Gorgosaurus libratus )として1914年にローレンス・ランベ博士によって記載された肉食恐竜です。1970年にデイル・ラッセル博士による再評価で、アルバートサウルスと属を分ける程の差はないとされ、アルバートサウルス属に入れられました。その後、1990年にロバート・バッカー博士により、やはり別属であると結論され、現在では多くの研究者が認めるところとなっています。この為、"アルバートサウルス"・リブラトゥスはなくなり、ゴルゴサウルス・リブラトゥスに戻っています。
A.メガグラキリス( Albertosaurus megagracilis )は1978年にモンタナ州のヘル・クリーク累層(マーストリヒト期最末期)から発見された部分的な骨格に与えられた名前です。
この標本はラルフ・モルナー博士により、暫定的にアルバートサウルス・ランセンシス(つまりゴルゴサウルス・ランセンシス=ナノティランヌス)とされましたが、1988年にグレゴリー・ポール博士によってアルバートサウルス・メガグラキリス("大きくて華奢な"という意味)と命名されました。1995年にはJ・オルシェフスキー氏によって目の上の角の形状がアルバートサウルスとは異なっている事を根拠にディノティランヌス・メガグラシリス( Dinotyrannus megagracilis )と改名されたのですが、現在ではティラノサウルスの亜成体であったことが分かっており、この名前は消滅してしまいました。

アルバートサウルス・メガグラシリスことディノティランヌスのスケッチ。今ではティラノサウルスの青年期の個体と考えられています。
A.アルクトゥングイス( Albertosaurus arctunguis )は1928年にアルバータ州のホースシュー・キャニオン累層で発見された骨格に対しロイヤル・オンタリオ博物館のウィリアム・A・パークス博士が付けた名前です。種小名は「細い鉤爪」といった意味です。グレゴリー・ポール博士はA.アルクトゥングイスはA.サルコファグスよりもほっそりしている、腕および手の爪が短い、後足がより長い等の違いを挙げています。しかし、現在ではほとんどの研究者が個体差と考えており、A.サルコファグスの新参異名とされています。
参考文献:「恐竜学最前線9」学研、「肉食恐竜辞典」グレゴリー・ポール著 河出書房新社、「新恐竜伝説」金子隆一著 早川書房
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