ティラノサウルス科_アルバートサウルス(3) 分類と生態
- 2014/11/22
- 07:24

アルバートサウルス・サルコファグスの生体の想像図。個人的にアルバートサウルスには赤が似合う気がします。
2013年のローウェン博士による系統解析では、ゴルゴサウルスと共にアルバートサウルス亜科をなします。体長は約8m位で頭部は1mを超えるものもあります。ティラノサウルスと比較して後足が長く、よりほっそりしており、体重は2t程度と推定されており、おそらくかなり早い速度で歩くことができたと考えられます。ティラノサウルス程、顎の筋肉は発達しておらず、骨を砕いて食べる事はしなかったと思われます。また、群れで生活していた可能性を示す証拠が発見されています。
1910年、アメリカ自然史博物館のバーナム・ブラウン博士はカナダ、アルバータ州のレッド・ディア川をいかだで下りながら化石を採取していました。ブラウン博士はドラムヘラーの北で数袋分のアルバートサウルスを発見しましたが、発掘を継続せずに帰ってしまい、そのまま同地へ戻ってくる事はなかったそうです。この地についてブラウン博士は雑誌等に記事にしたそうですが、数十年忘れ去られていました。
1976年、ロイヤルティレル博物館のフィリップ・カリー博士はその記事を読んで興味を持ち、化石発掘の片手間に探していたそうですがなかなか見つからなかったそうです。1996年にアメリカ自然史博物館を訪れたカリー博士は、そこでブラウン博士の見つけたアルバートサウルスに出合います。それは非常に保存状態の良い足の骨で、全部で9頭分あったそうです。ここでカリー博士は件の発掘地の重要性に改めて気付きます。本当に9頭もの肉食恐竜が1か所に固まっているとするなら、肉食恐竜が群れをなしていた証拠となるかもしれないからです。本腰を入れて探しはじめ、1997年の夏に該当の場所を見つけ出す事に成功したカリー博士は、1998~2000年にかけて発掘を行い、8頭の大人(17~23歳と推定)、7頭の亜成体(12~16歳と推定)、6頭の子供(2~11歳と推定)を発見しました。このボーンベッドで発見された最小の個体は約2mで2歳と同定されました。また最大の個体は10mに達し(アルバートサウルスとしては最大)、年齢は28歳だったそうです。ティラノサウルスの「スー」と同い年ですので、おそらく寿命直前の老体だったと思われます。
様々な年齢の個体が混じっている事から、繁殖期に一時的に集まった同種の動物という可能性は排除できます。また、狩りに参加できない非常に小さな個体も相当な老齢の個体もいる事から、餌の配分など、ある程度の社会性が群れの中にあったかもしれません。
参考文献:「恐竜学最前線9」学研、「DinoPress Vol.1」オーロラ・オーバル社
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