リムサウルス_Limusaurus
- 2016/12/25
- 23:28
Yahoo!の科学ニュースで面白い話がありましたので、ちょっとご紹介を。
リムサウルス・インエクストリカビリス( Limusaurus inextricabilis )という小型の獣脚類についてのお話しです。リムサウルスは中国のジュンガル盆地から発見されたジュラ紀後期(オックスフォード期)のケラトサウルス類ですが、ケラトサウルスやアベリサウルス類とはまったく似ていない特徴的な恐竜です。巨大な竜脚類の足跡に出来た泥沼にハマって死亡したと推測されていることから、属名は「泥のトカゲ」、種小名は「脱出不可能な」という意味の名を与えられました。


恐竜博2011より。
こんな感じです。細長く、脚も長いので俊足のランナーであったと考えられています。口元は歯がなくクチバシになっていて、また胃石も持っていた事から植物食であったと推測されます。前足は小さく縮退しており、親指がひどく退化してきているのも特徴です。一時期は鳥の指との関係が取り沙汰されていましたが、現在では独自に進化したものとされています。アフリカで発見されたエラフロサウルスと近縁とされます。
と、まぁ、ざっくり説明するとそんな感じの恐竜ですが、記事と元の論文によると、リムサウルスの赤ちゃんや幼体は何と歯があったんだそうです。んで、成長の過程でだんだんと歯が減っていって、亜成体位に成長すると歯がなくなってしまうのだそう。
こんな風に1匹の生き物が、生きている間に歯がなくなるという例はかなり稀なようで、爬虫類では初めての例なんだそうです。
もちろん、化石記録としても初めての事なんだとか。
歯がないのが特徴って言ってたのに。。。こういう例もあるから、子供の化石から新種として記載するのはちょっと。。。と論文に書いてありました。
リムサウルスの化石は今までに19個体分も発見されていて、今回の研究ではその内13個体の化石を試料として使用したとの事。子供と大人を比較すると、78個もの違いがあったと言います。中でも分かりやすいものとしては、大きくなると頭骨が細長くなる、手の指の骨が長くなる、方形骨が垂直になってくる、下顎の骨(歯骨)の先端が下方向へ垂れ下がる、胃石を持つようになる、そして歯がなくなる等が挙げられていました。
ここら辺の関係性が面白いんですが、「歯がなくなる⇒胃石を飲み込む様になる」というのは、成長に伴って食べ物が植物メインにシフトしていく、という事を示している様です。
論文では、子供と大人の化石に含まれる炭素と酸素の同位体についても調査したとあります。色々な物を食べる動物の方が複数の同位体を体に取り入れる為、食性が推測できるという事の様です。結果として、子供は広い範囲の同位体が見つかり、大人では範囲が狭まった、とされています。これはつまり、歯を持っていた子供時代は色々な物を食べる雑食性であり、大人になると植物を食べる様に変化した為と解釈できます。
何故、食性が変化したのかについては、同族間での食べ物を巡る競合を減らす為ではないか、とされていました。
リムサウルス、見た目もヘンテコですが、生態も相当にヘンテコだったんですね。
参考文献:Shuo Wang, Josef Stiegler, Romain Amiot, Xu Wang, Guo-hao Du, James M. Clark, Xing Xu 「Extreme Ontogenetic Changes in a Ceratosaurian Theropod」(2016) Current Biology 、「恐竜博2011」図録
リムサウルス・インエクストリカビリス( Limusaurus inextricabilis )という小型の獣脚類についてのお話しです。リムサウルスは中国のジュンガル盆地から発見されたジュラ紀後期(オックスフォード期)のケラトサウルス類ですが、ケラトサウルスやアベリサウルス類とはまったく似ていない特徴的な恐竜です。巨大な竜脚類の足跡に出来た泥沼にハマって死亡したと推測されていることから、属名は「泥のトカゲ」、種小名は「脱出不可能な」という意味の名を与えられました。


恐竜博2011より。
こんな感じです。細長く、脚も長いので俊足のランナーであったと考えられています。口元は歯がなくクチバシになっていて、また胃石も持っていた事から植物食であったと推測されます。前足は小さく縮退しており、親指がひどく退化してきているのも特徴です。一時期は鳥の指との関係が取り沙汰されていましたが、現在では独自に進化したものとされています。アフリカで発見されたエラフロサウルスと近縁とされます。
と、まぁ、ざっくり説明するとそんな感じの恐竜ですが、記事と元の論文によると、リムサウルスの赤ちゃんや幼体は何と歯があったんだそうです。んで、成長の過程でだんだんと歯が減っていって、亜成体位に成長すると歯がなくなってしまうのだそう。
こんな風に1匹の生き物が、生きている間に歯がなくなるという例はかなり稀なようで、爬虫類では初めての例なんだそうです。
もちろん、化石記録としても初めての事なんだとか。
歯がないのが特徴って言ってたのに。。。こういう例もあるから、子供の化石から新種として記載するのはちょっと。。。と論文に書いてありました。
リムサウルスの化石は今までに19個体分も発見されていて、今回の研究ではその内13個体の化石を試料として使用したとの事。子供と大人を比較すると、78個もの違いがあったと言います。中でも分かりやすいものとしては、大きくなると頭骨が細長くなる、手の指の骨が長くなる、方形骨が垂直になってくる、下顎の骨(歯骨)の先端が下方向へ垂れ下がる、胃石を持つようになる、そして歯がなくなる等が挙げられていました。
ここら辺の関係性が面白いんですが、「歯がなくなる⇒胃石を飲み込む様になる」というのは、成長に伴って食べ物が植物メインにシフトしていく、という事を示している様です。
論文では、子供と大人の化石に含まれる炭素と酸素の同位体についても調査したとあります。色々な物を食べる動物の方が複数の同位体を体に取り入れる為、食性が推測できるという事の様です。結果として、子供は広い範囲の同位体が見つかり、大人では範囲が狭まった、とされています。これはつまり、歯を持っていた子供時代は色々な物を食べる雑食性であり、大人になると植物を食べる様に変化した為と解釈できます。
何故、食性が変化したのかについては、同族間での食べ物を巡る競合を減らす為ではないか、とされていました。
リムサウルス、見た目もヘンテコですが、生態も相当にヘンテコだったんですね。
参考文献:Shuo Wang, Josef Stiegler, Romain Amiot, Xu Wang, Guo-hao Du, James M. Clark, Xing Xu 「Extreme Ontogenetic Changes in a Ceratosaurian Theropod」(2016) Current Biology 、「恐竜博2011」図録
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