ティラノサウルス科_ダスプレトサウルス(1) 発見と命名
- 2014/12/01
- 11:03

CMN8506から描きおこしたダスプレトサウルスの頭部。
1921年にアルバータ州の州立恐竜公園でスターンバーグ一家の長男、チャールズ氏によって頭骨を含む部分的な化石が採取されました。この標本はカナダ自然博物館に収容され、CMN8506のナンバーが与えられましたが、その後「ゴルゴサウルスの一種」とか「未命名のティラノサウルス科」と呼ばれるだけで、49年間も未記載のままだったそうです。
チャールズ・M・スターンバーグ氏は、この恐竜がそれまでに記載されていたティラノサウルス科とは異なる属であると考えていたようですが、結局名前が付けられたのは1970年になってデイル・ラッセル博士がこの標本を研究してからでした。CMN8506は、ゴルゴサウルスやアルバートサウルスよりもどっしりとした体つきをしています。また目の穴(眼窩)の前の骨(涙骨)の突起が、鼻先に向かって傾く様に発達するゴルゴサウルス及びアルバートサウルスと異なり、涙骨の真上で一番高くなるという点で異なっています。ティラノサウルスでは涙骨突起はあまり発達していません。
この様な相違点からラッセル博士はCMN8506にダスプレトサウルス・トロスス(Daspletosaurus torosus:属名は「恐ろしいトカゲ」、種小名は「筋肉質の、たくましい」といった意味)と命名しました。ダスプレトサウルスの化石が発掘されるのはオールドマン累層という地層からで、その時代は今から大よそ7750~7650万年前程だそうです。ゴルゴサウルスはこれより新しいダイナソーパーク累層(7660~7480万年前)から、アルバートサウルスはホースシューキャニオン累層(7300~6650万年前)から発見されており、生きていた時代が異なる事でも区別される様です。
現在のところ、ダスプレトサウルスの種はD.トロススのみですが、その他にもダスプレトサウルスの一種とされる標本が幾つかあるようです。この辺は非常に込み入っているので、また別の機会にお話ししてみたいと思います。
参考文献:「恐竜学最前線9、10」学研
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