コンプソグナトゥス科

長らく更新をサボっておりましたが、最近の恐竜ニュースと言うと、シノサウロプテリクスがアライグマの様な模様をしていたらしい、という研究でしょうか。

シノサウロプテリクスは既に赤茶色と白からなる縞々の尻尾を持っていた事は知られていましたが、イギリスはブリストル大学のビンター博士、スミスウィック博士による研究では顔の模様がまるでアライグマの様だったとしています。
また、背中側の色が濃く、腹側が薄いカウンターシェーディングというカムフラージュ模様になっており、色々な光源の元で実験したところ、シノサウロプテリクスは開けた土地に住んでいたのではないかと推測されるそうです。もちろん反論もあって、メアリー･シュヴァイツァー博士なんかは結構強烈に批判してたりします。
リンク⇒ナショジオ日本語版の記事

そんな訳で、シノサウロプテリクスが含まれるコンプソグナトゥス科の連中を一挙に紹介。

↓シノサウロプテリクス･プリマ（ Sinosauropteryx prima ）


イラストは今回の説の発表前に描いた物なので、アライグマ風の顔の模様はありません。化石の写真を見て頂くと、尻尾の羽毛に明確な色の差があって、生前は縞々模様だったんだろうな～、と素人でも分かる保存状態です。
中国遼寧省から発見される白亜紀前期の恐竜で、初めて発見された羽毛恐竜です。この化石の写真を始めて見たオストロム博士は涙したと言います。最初、ホロタイプの化石は長谷川善和先生に買わないか打診があったそうで、もしかしたらホロタイプが群馬県立自然史博物館の所蔵になっていた可能性があったとか。

↓コンプソグナトゥス･ロンギペス（ Compsognathus longipes ）


ドイツで見つかった種で、恐竜研究の初期には始祖鳥との類似性が指摘された動物です。名前は｢可愛い顎｣という意味です。ハクスリー博士はコンプソグナトゥスと始祖鳥の類似から恐竜から鳥が進化したと唱えました。前脚の保存状態が悪く、かつては指が2本しかなかったとされていた為、オルシェフスキー氏などはティラノサウルス類の祖先なんて言ってましたっけ。
フランスでも発見されており、こちらはC. エレガンスとフランスっぽくオシャレな名前が付けられましたが、現在ではC.ロンギペスと同じものとされています。こちらも前脚の状態が悪く、昔はコンプソグナトゥスの前脚はヒレになっていて泳ぎが得意だったなんて説もありました。

↓ファシャグナトゥス･オリエンタリス( Huaxiagnathus orientalis )


中国を意味する｢華夏｣とアゴでファシャグナトゥスだそうです。遼寧省から見つかった大型のコンプソグナトゥス科で、現在見つかっている標本の中で最大の個体は体長1.8mになるそうです。コンプソグナトゥス科の中では基盤的な種とされます。

↓シノカリオプテリクス･ギガス( Sinocalliopteryx gigas )


コンプソグナトゥス科の中で最大の種です。ホロタイプで約2.4m程とされますが、さらに大型の個体も見つかっているそうです。この名前は中国を意味するシンとギリシャ語で美しい+アゴで、｢中国の美しい顎｣という意味です。腹部にドロマエオサウルス類のものと思われる骨があり、それらの恐竜を捕食していたと考えられています。また、第2標本の腹部からは孔子鳥の骨も見つかっています。

↓スキピオニクス･サムニティクス( Scipionyx samniticus )


イタリアで初めて発見された恐竜で、明らかに幼体であるとされます。全長50cm程ですが、成長すれば2mくらいになったかもしれないとされます。腹部に軟組織の痕跡らしきものが残っていて、色々な説が提唱されています。名前は地質学者のスキピオーネ博士及びローマ帝国の軍人スキピオに因んで命名されました。軟組織は筋肉や内臓だそうですが、驚くべき事に、印象ではなく、筋肉や内臓そのものが化石化したものだそうです。

以上、これまでの恐竜展などで化石（レプリカ）を見る事ができたコンプソグナトゥス科の仲間でした。