ステゴサウルス(1) 発見と命名
- 2014/12/27
- 04:31
ステゴサウルスは、背中に薄い骨のプレートを並べたその奇抜な姿をもって良く知られる植物食恐竜の1つです。1877年、コロラド州モリソン付近で最初の標本が発見され、オスニエル・チャールズ・マーシュ博士によりステゴサウルス・アルマトゥス(Stegosaurus armatus 装甲した屋根のトカゲの意)と名付けられました。発見当初、化石が不完全であった事からプレートが組み合わさって亀の甲羅の様に背中を覆っていたと考えられ、「屋根(に覆われた)トカゲ」となったそうです。マーシュ博士はステゴサウルス・アルマトゥスの最初の標本について記載を行なわなかったそうで、現在でも記載論文は出ていない様です。また、最近ではS.アルマトゥスの標本は断片的過ぎてステゴサウルスとしての特徴を表していない事から、無効名であり模式標本から外すべきとの主張もあります。

ステゴサウルス・ステノプスの全身骨格。日本でも結構沢山の博物館で見る事が出来ます。
その後、ステゴサウルスの種はどんどんと増えていきました。1879年にS.ウングラトゥス、1881年にS.アッフィニス、1887年にS.ステノプスといった具合で最終的には17種にも膨れ上がった様ですが、ほとんどは個体差や成長段階の違いだった様で、現在のところ有効とされる種はS.アルマトゥス、S.ウングラトゥス(蹄を有する、という意味)、S.スルカトゥス(畝のある、という意味)、S.ステノプス(狭い顔、という意味)の4種だそうです。他にもヘスペロサウルスとウェルホサウルスという2属がステゴサウルス属に分類されるべきとの説もあるそうです。
S.ウングラトゥス(ungulatus)はロバート・バッカー博士の著書「恐竜異説」で尻尾に4対8本のスパイクを持つ姿が描かれていて凄くかっこいいなと思ったものです。1891年にマーシュ博士が複数の個体を組み合わせて復元したもので、初めて剣竜の姿が世間に知られるきっかけとなった標本です。尻尾に8本のスパイクを持っているのは色々な標本を寄せ集めたせいで増えてしまったもので、実際には他のステゴサウルス属と同じく2対4本だった様です。
S.スルカトゥス(sulcatus)は1887年に記載されたステゴサウルスの一種で、マーシュ博士はS.スルカトゥスが尾のスパイクを1対しか持っておらず、またスパイクが非常に大きくて太く、根元の幅が広くてその内側に下向きに走る2本の深い溝がある事が他のステゴサウルス属と異なると考えました。その後、チャールズ・ギルモア博士によりS.スルカトゥスも2対のスパイクを持ち、その形状がS.ウングラトゥスと区別できないと考えられたことから、多くの研究者はS.ウングラトゥスの下位異名と考えていたそうです。最近の研究では、形状が異なるとされたスパイクは実は肩から生えていた可能性が指摘されている様です。中国の剣竜では珍しくもない特徴ですが、北米産の剣竜では肩のスパイクを持つ種は他に知られていないので、もしかするとS.スルカトゥスはステゴサウルス属ではないかもしれません。
S.ステノプス(stenops)は1885~1886年にコロラド州のキャノンシティ近くで発見された標本USNM4934に基づいてマーシュ博士により記載された種です。この標本には完全な頭骨が残っていて、この標本の発見から100年以上も完全な頭骨を持つ北米唯一の剣竜の標本だったそうです。ぺしゃんこに潰れた状態で発見されたことから「ロードキル(road kill)」という愛称が付いているそうですが、このロードキルというのは車に轢かれてぺしゃんこになった状態を言うそうです。S.ステノプスはステゴサウルス属では最も標本が多い種で、S.アルマトゥスやS.スルカトゥスよりも古い時代に生息していた様です。ロバート・バッカー博士やジョージ・オルシェフスキー氏はS.ステノプスをステゴサウルス属から外して「ディラコドン」・ステノプスとすべきと主張していましたが、現状では他の研究者から支持されていません。

ステゴサウルス・ステノプスの想像図。カーネギー博物館に展示されているS.ウングラトゥスと比べると、より頭部が低く細長い様に見えます。
参考文献:「恐竜学最前線4」学研

ステゴサウルス・ステノプスの全身骨格。日本でも結構沢山の博物館で見る事が出来ます。
その後、ステゴサウルスの種はどんどんと増えていきました。1879年にS.ウングラトゥス、1881年にS.アッフィニス、1887年にS.ステノプスといった具合で最終的には17種にも膨れ上がった様ですが、ほとんどは個体差や成長段階の違いだった様で、現在のところ有効とされる種はS.アルマトゥス、S.ウングラトゥス(蹄を有する、という意味)、S.スルカトゥス(畝のある、という意味)、S.ステノプス(狭い顔、という意味)の4種だそうです。他にもヘスペロサウルスとウェルホサウルスという2属がステゴサウルス属に分類されるべきとの説もあるそうです。
S.ウングラトゥス(ungulatus)はロバート・バッカー博士の著書「恐竜異説」で尻尾に4対8本のスパイクを持つ姿が描かれていて凄くかっこいいなと思ったものです。1891年にマーシュ博士が複数の個体を組み合わせて復元したもので、初めて剣竜の姿が世間に知られるきっかけとなった標本です。尻尾に8本のスパイクを持っているのは色々な標本を寄せ集めたせいで増えてしまったもので、実際には他のステゴサウルス属と同じく2対4本だった様です。
S.スルカトゥス(sulcatus)は1887年に記載されたステゴサウルスの一種で、マーシュ博士はS.スルカトゥスが尾のスパイクを1対しか持っておらず、またスパイクが非常に大きくて太く、根元の幅が広くてその内側に下向きに走る2本の深い溝がある事が他のステゴサウルス属と異なると考えました。その後、チャールズ・ギルモア博士によりS.スルカトゥスも2対のスパイクを持ち、その形状がS.ウングラトゥスと区別できないと考えられたことから、多くの研究者はS.ウングラトゥスの下位異名と考えていたそうです。最近の研究では、形状が異なるとされたスパイクは実は肩から生えていた可能性が指摘されている様です。中国の剣竜では珍しくもない特徴ですが、北米産の剣竜では肩のスパイクを持つ種は他に知られていないので、もしかするとS.スルカトゥスはステゴサウルス属ではないかもしれません。
S.ステノプス(stenops)は1885~1886年にコロラド州のキャノンシティ近くで発見された標本USNM4934に基づいてマーシュ博士により記載された種です。この標本には完全な頭骨が残っていて、この標本の発見から100年以上も完全な頭骨を持つ北米唯一の剣竜の標本だったそうです。ぺしゃんこに潰れた状態で発見されたことから「ロードキル(road kill)」という愛称が付いているそうですが、このロードキルというのは車に轢かれてぺしゃんこになった状態を言うそうです。S.ステノプスはステゴサウルス属では最も標本が多い種で、S.アルマトゥスやS.スルカトゥスよりも古い時代に生息していた様です。ロバート・バッカー博士やジョージ・オルシェフスキー氏はS.ステノプスをステゴサウルス属から外して「ディラコドン」・ステノプスとすべきと主張していましたが、現状では他の研究者から支持されていません。

ステゴサウルス・ステノプスの想像図。カーネギー博物館に展示されているS.ウングラトゥスと比べると、より頭部が低く細長い様に見えます。
参考文献:「恐竜学最前線4」学研
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