ティラノサウルス科
- 2015/01/30
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ティラノサウルス科は、白亜紀の後期(カンパニア期8000万年前~マーストリヒト期6650万年前)に生息していた、その時代ごとの最大最強の肉食恐竜達です。現在命名されているものには、ティラノサウルス、タルボサウルス、ズケンティランヌス、ダスプレトサウルス、アルバートサウルス、ゴルゴサウルス、ナノティランヌス、リトロナクス、ビスタヒエヴェルソル、テラトフォネウス、ナヌークサウルスがありますが、他にも非公式で記載待ちのものも幾つかいる様です。
ティラノサウルス科の祖先はかなり古くから生息していた様で、現在知られている限り最も古いものは、イギリスで発見されたプロケラトサウルス・ブラッドレイ(Proceratosaurus bradleyi 某錬金術師の大総統とは無関係w)です。この恐竜はジュラ紀中期バトン期(1億6600万年前~1億6100万年前位)から発見されており、ティラノサウルスから1億年も前に生息していました。欠けた頭部しか知られていないのですが、体長は2m程度の小型で華奢なコエルロサウルス類と思われます。これと近縁なのが中国のウイグル自治区で発見されたグアンロン・ウーカイイ(Guanlong wucaii_中国語で冠竜の意味)で、頭部に奇妙なトサカがありました。どうも、最も初期のティラノサウルス類はトサカを生やしていた様です。
その後はディロングやエオティランヌス等の比較的頭部がゴツイものが現れ、白亜紀前期には体長9mのユティランヌス等が現れます。ここら辺の恐竜達はティラノサウルス科との共通点はありますが、まだティラノサウルス科としてまとめられる程はティラノサウルスに似ていません。この様なティラノサウルス科と共通点を持った祖先的な恐竜達はティラノサウルス上科という分類をされています。
驚きなのは、ディロングとユティランヌスで羽毛の痕跡が発見された事で、この事実からティラノサウルスにも羽毛があった可能性が高くなりました。
ティラノサウルス科が持つ共通点として、以下の様なものがあります。
・上顎先端の前上顎骨の歯の断面がD字型(あるいはかまぼこ型)をしている

丸で囲った部分が前上顎骨歯ですが、これの断面がD字型をしているのはティラノサウルス類全体の特徴の様です。古い祖先は特に後のティラノサウルス類と似ていないので、この特徴からティラノサウルス類と判断されます。
・前脚の指が2本

実際には3本目の指もあり、爪もあったそうですが、機能指として動かせたのは2本しかなかった様です。ティラノサウルス科以外のティラノサウルス類では、ユティランヌスやディロング等は3本の機能指を持っていました。
・第3中足骨が左右の2本に挟み潰されている

この様な構造はアルクトメタターサルというそうで、足が速いと言われるオルニトミムスの仲間や、最も脳が大きい恐竜であるトロオドンの仲間でも見られます。ティラノサウルス科の場合、体重を分散する役割があったと言われ、この足の構造のおかげで巨大化できた可能性があります。
他にも細かいところでは、
・方形頬骨と鱗状骨が一体となって外側頭窓に飛び出す

・頭蓋内部の複雑な気道
・左右の鼻骨が縫合または癒合して太い棒状になり、粗面が発達している
等があります。他にも骨格の細かな共通点が20以上もあるそうですが、えっと、私も良く分からないので割愛します。
参考文献:「恐竜学最前線10」学研、「最新恐竜辞典-分類・生態・謎・情報収集-」金子隆一編 朝日新聞社、「恐竜の世界」金子隆一著 新星出版社
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