幻獣の名を冠する恐竜シリーズ8 ブラディクネメ(1)
- 2015/03/30
- 23:26
ブラディクネメ・ドラクラエ( Bradycneme draculae )は、ルーマニアはトランシルヴァニア地方、ハツェグ盆地の白亜紀後期マーストリヒト期の地層(シンペトル累層)から発見された恐竜?で、1975年にロンドン自然史博物館の古生物学者シリル・ウォーカー博士と鳥類学者コリン・ハリソン博士により、巨大なフクロウとして記載されました。発見されている部位は足首の一部だけで、幅広く約4cmあり、これに起因してギリシャ語で「重々しい足」と命名されています。
※しかしながら、このサイズをフクロウに当てはめると、体長2m(!)となるそうで、まあ、ちょっと考えられないですね。ヨーロッパで目撃されたUMAのフクロウ男みたい。
ブラディクネメは化石資料があまりに断片的な為、分類については研究者の間でコンセンサスが得られていない状態です。最初は鳥と考えられていましたが、アメリカのピアス・ブロッドコーブ博士が恐竜ではないかとの説を発表し、他にもラルフ・モルナー博士は骨の形状からドロマエオサウルス科ではないかと推測しました。フランスのエリック・ビュフェトー博士は、ドロマエオサウルス科であるという意見に賛同しつつ、同じトランシルヴァニア地方で発見されたエロプテリクス(「湿地の翼」の意、別にエロい訳ではない。記載者のチャールズ・ウイリアム・アンドリュース博士はペリカンの仲間だと考えていた)と同じ動物であると主張し、グレゴリー・ポール博士は、エロプテリクスは同じくトランシルヴァニア地方でフランツ・フォン・ノプシャ博士によって発見されたヘプタステオルニス(「七つの都市の鳥」の意。トランシルヴァニア地方は伝統的にその様に呼称された事に由来)という恐竜(こちらも最初は鳥だと考えられていた)と同じもので、ブラディクネメとは異なる動物であると唱えました。ポール博士の「肉食恐竜辞典」ではブラディクネメはトロオドンの仲間とされています。

トロオドンの仲間としての想像図。BBCの「プラネットダイナソー」シリーズではトロオドン類として描かれていましたので、この復元が一番メジャーかも。
2000年代に入ってからも議論は続いていて、2004年にはダレン・ナイシュ博士がヘプタステオルニスはアルヴァレスサウルス類であるが、ブラディクネメは断片的過ぎて分類できないとし、2011年にはトーマス・ホルツ博士によってブラディクネメもアルヴァレスサウルス類であるとされました。
この様に、現在においてもブラディクネメの分類は混乱しています。面白い事に、ブラディクネメ、ヘプタステオルニス、エロプテリクスの3種は、いずれも鳥と考えられたのに、みんな恐竜になってしまいました。しかしながら、これらがトロオドン類ではなく、アルヴァレスサウルス類であった場合、あながち鳥で間違いじゃないかもしれません。アルヴァレスサウルス類は研究者によっては恐竜ではなく、基盤的な鳥とされる事もあるからです(THE DINOSURIA 2nd editionでは基盤的アヴィアラエになっている)。
参考文献:「恐竜学最前線3」学研、「肉食恐竜辞典」G.ポール著 河出書房新社、「THE DINOSURIA 2nd edition」 UNIVERSITY OF CALIFORNIA PRESS、Wikipedia「Bradycneme」
※しかしながら、このサイズをフクロウに当てはめると、体長2m(!)となるそうで、まあ、ちょっと考えられないですね。ヨーロッパで目撃されたUMAのフクロウ男みたい。
ブラディクネメは化石資料があまりに断片的な為、分類については研究者の間でコンセンサスが得られていない状態です。最初は鳥と考えられていましたが、アメリカのピアス・ブロッドコーブ博士が恐竜ではないかとの説を発表し、他にもラルフ・モルナー博士は骨の形状からドロマエオサウルス科ではないかと推測しました。フランスのエリック・ビュフェトー博士は、ドロマエオサウルス科であるという意見に賛同しつつ、同じトランシルヴァニア地方で発見されたエロプテリクス(「湿地の翼」の意、別にエロい訳ではない。記載者のチャールズ・ウイリアム・アンドリュース博士はペリカンの仲間だと考えていた)と同じ動物であると主張し、グレゴリー・ポール博士は、エロプテリクスは同じくトランシルヴァニア地方でフランツ・フォン・ノプシャ博士によって発見されたヘプタステオルニス(「七つの都市の鳥」の意。トランシルヴァニア地方は伝統的にその様に呼称された事に由来)という恐竜(こちらも最初は鳥だと考えられていた)と同じもので、ブラディクネメとは異なる動物であると唱えました。ポール博士の「肉食恐竜辞典」ではブラディクネメはトロオドンの仲間とされています。

トロオドンの仲間としての想像図。BBCの「プラネットダイナソー」シリーズではトロオドン類として描かれていましたので、この復元が一番メジャーかも。
2000年代に入ってからも議論は続いていて、2004年にはダレン・ナイシュ博士がヘプタステオルニスはアルヴァレスサウルス類であるが、ブラディクネメは断片的過ぎて分類できないとし、2011年にはトーマス・ホルツ博士によってブラディクネメもアルヴァレスサウルス類であるとされました。
この様に、現在においてもブラディクネメの分類は混乱しています。面白い事に、ブラディクネメ、ヘプタステオルニス、エロプテリクスの3種は、いずれも鳥と考えられたのに、みんな恐竜になってしまいました。しかしながら、これらがトロオドン類ではなく、アルヴァレスサウルス類であった場合、あながち鳥で間違いじゃないかもしれません。アルヴァレスサウルス類は研究者によっては恐竜ではなく、基盤的な鳥とされる事もあるからです(THE DINOSURIA 2nd editionでは基盤的アヴィアラエになっている)。
参考文献:「恐竜学最前線3」学研、「肉食恐竜辞典」G.ポール著 河出書房新社、「THE DINOSURIA 2nd edition」 UNIVERSITY OF CALIFORNIA PRESS、Wikipedia「Bradycneme」
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