幻獣の名を冠する恐竜シリーズ8 ブラディクネメ(2)
- 2015/04/01
- 23:41

アルヴァレスサウルス科としてのブラディクネメの想像図。
アルヴァレスサウルス科は、ダチョウ恐竜とも呼ばれるオルニトミモサウルス類と近縁の鳥に良く似た恐竜の一群で、竜骨を持つ等、鳥にしかない特徴を持っていたりしますが、実際のところは収斂進化の結果で、言う程鳥に近縁ではないようです。最大の特徴は、非常に腕が短く、巨大な親指の爪を持っている点です。実際には2本目、3本目の指もあったのですが、縮小しすぎて生きている時にはほとんど見えなかったと思われます。この短い腕でシロアリの巣を破壊して食べていたのではないかと推測されています。ブラディクネメがアルヴァレスサウルス科だったとすると、本科の中ではかなり大型の種であった事になる様です。
さてさて、長々とブラディクネメについて語ってきましたが、どこが幻獣の名前かと言いますと、種小名のドラクラエです。これは、ルーマニア語のドラクル(dracul)が語源なのですが、ドラクルとは英語のドラゴンと同じ意味です。
有名なドラキュラのモデルとなったワラキア公ヴラド3世の父親がドラクルと呼ばれていたそうで、これはヴラド2世がローマ帝国からドラゴン騎士団の騎士に任命された事から、ドラクル=竜公となったそうです。
んで、ルーマニア語では「〇〇の子」といった意味で単語の末尾にaを付けるそうで、ヴラド3世はdracul+aでドラキュラ、即ち竜公子と呼ばれていたんだそうです。今回、調べてみて以外だったのは、ヴラド3世はこのドラキュラというニックネームを気に入っていたらしい、という事。実際、自分で使用していたんだそうで、サインが残っているそうです。
また、ヴラド3世はオスマントルコと敵対して敵兵を串刺しにする等の残酷な行為を行ったとして、串刺し公=ツェペシュとも呼ばれており、日本ではヴラド・ツェペシュという呼び方が一般的です。この様な残虐性から、ブラム・ストーカーの吸血鬼小説の元ネタとされていますが、今日ではオスマントルコから祖国を防衛した英雄としての再評価が進んでいるそうです。

ヴラド3世の肖像画。Wikipediaより。
ブラディクネメがトロオドン類であればドラクルの名もそこそこしっくり来るんですが、アルヴァレスサウルス類だったとすると、これまた名前負けな感じになりますね。
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