スティラコサウルス

ダイノワールド2015の公式Twitterで、何やら「スティラコサウルス」の画像が出てますが、もしかしてスティラコサウルスの全身骨格とか来ちゃうんでしょうか!?
ワタクシ、角竜の中じゃスティラコサウルスが一番好きなので、もう心拍数が跳ね上がっています。

そんなワケで、今回はスティラコサウルスを紹介します。



　スティラコサウルスはカナダ、アルバータ州のダイナソーパーク累層上部（カンパン期後期とされる）からチャールズ･モートラム･スターンバーグ氏によって発見され、1913年にローレンス･ランベ博士によって記載された角竜です。模式種（NMC344、カナダ自然史博物館）はスティラコサウルス･アルバーテンシス（ Styracosaurus albertensis ）で、属名は「トゲのあるトカゲ」、種小名は「アルバータ州産の」といった意味です。最大の特徴は6本の長いホーンレットで、これにより特に派手な頭部を持つ角竜の中でも一際目立つ頭部をしています。また、鼻孔がやたらにデカいのも特徴の一つとされます。体長は約5.5m、体重2.7t程と推定されており、角竜としては中型のサイズでした。G.ポール博士の見積もりだともっと軽くて1.8t位とされています。


カナダ自然史博物館のホロタイプ標本。Wikipediaより。

　スティラコサウルスは、S.アルバーテンシスの他に、もう2種が記載されています。一つはS.パルクシ（ Styracosaurus parksi ）。これはアメリカ自然史博物館の為にバーナム･ブラウン博士が1915年にカナダ、アルバータ州のスティーヴヴィル付近のダイナソーパーク累層から採取した部分的な頭部と尻尾が欠けたほぼ完全な胴部の化石（AMNH5372）に基づいて記載された種で、ウォールマウントされた展示はつとに有名です。


これね。これもWikipediaより。

　種小名はウィリアム･パークス博士に献名されたものですが、ブラウン博士は最初、「ボレアリス」とするつもりだったとか。ブラウン博士とエーリッヒ･M･シュレイカー博士によって研究がなされた本種ですが、S.アルバーテンシスとほぼ同じ地域、時代から発見されたにもかかわらず、頬骨の形状が違う、下顎が短くて頑丈な作りをしているといった違いから別種としました。しかし頭部は不完全な状態であり、大部分が石膏で作られたものである事から、現在ではS.パルクシはS.アルバーテンシスの新参異名であるとされています。

　第3の種はS.オヴァトゥス（ Styracosaurus ovatus ）で、これはモンタナ州のツーメディシン累層（こちらもカンパン期後期）から1928年にジョージ･スターンバーグ氏が発見したフリルの一部（USNM11869）に基づいて1930年にチャールズ･ギルモア博士により記載されました。S.アルバーテンシスとの顕著な相違点として、S.オヴァトゥスの真ん中のホーンレットが正中線に向かっているという特徴があります。この為、この角は中央で交差する様に見えます。またフリルの角はS.アルバーテンシスよりも短いというのも相違点だそうです。その後、1986年に第2の標本（MOR429）が発見され、どうもスティラコサウルスとは違う恐竜なんじゃないかという意見が出て来た様で、2010年にペンシルバニア大学のアンドリュー･マクドナルド博士とジャック･ホーナー博士によりルベオサウルス･オヴァトゥス（ Rubeosaurus ovatus ）として再記載されました。この名前は「イバラ（あるいは木苺）のトカゲ」という意味だそうです。


ルベオサウルスの頭部の想像図。スティラコサウルスと比較すると、鼻角が反り返ってるのも違いの１つです。

　マクドナルド博士の系統解析によれば、スティラコサウルスはセントロサウルスにより近縁で、ルベオサウルスはパキリノサウルスにより近いとされており、見た目ほど近縁な関係ではなかった様です。G.ポール博士によればスティラコサウルスはセントロサウルスの直接の子孫で、ルベオサウルスの方がエイニオサウルス⇒アケロウサウルス⇒パキリノサウルスという流れの原点っぽいのかな。

参考文献：「恐竜学最前線6」学研、「THE PRINCETON FIELD GUIDE TO DINOSAURS」Gregory S. Paul Princeton University Press、Wikipedia英語版「Styracosaurus」、「Rubeosaurus」、Farke, Andrew Allen, ed. "A Subadult Specimen of Rubeosaurus ovatus (Dinosauria: Ceratopsidae), with Observations on Other Ceratopsids from the Two Medicine Formation" . PLoS ONE 6 (8): e22710. doi : 10.1371/journal.pone.0022710 . PMC 3154267 . PMID 21853043 .