ティラノサウルス科_ティラノサウルス(6) 生態について_2
- 2014/10/21
- 06:31
2.プレデターか、スカベンジャーか
多くの人がティラノサウルスに抱くイメージは強力な顎で獲物を捕らえる活発なハンターではないかと思います。実際のところ、化石からどの様に推測されているのか紹介します。
プレデターとは捕食者を意味し、自ら狩りをして獲物を捕らえる生物を指します。ティラノサウルスが狩りをしていた証拠と考えられるのは、噛む力が計算上約3tと陸生動物で最強、両目が前方を向いている為立体視が可能で獲物までの距離を正確に把握できる、巨体の割に足が長く比較的早く走れたと考えられる、等が挙げられます。実際、ティラノサウルスに噛みつかれたと思われる痕のあるエドモントサウルスやトリケラトプスの化石が発見されており、これらの傷は回復した痕が見られる為、襲われた後も生き延びたと考えられます。それはつまりティラノサウルスが生きた動物を襲った証拠に他ならないとされます。
対してスカベンジャーとは腐肉漁りを意味しており、現生動物だとハイエナとかハゲワシが相当します。こちらの説を支持する研究者は、前あしが小さすぎて暴れる獲物を押さえつけられない、走って転んだ場合に受け身が取れず頭部を強打すると死ぬ可能性がある、嗅覚を司る脳の嗅球という部分が非常に大きく嗅覚が優れていた為死体を発見しやすかった、等を根拠としています。

巨大なティラノサウルスの頭骨。プレデターでもスカベンジャーでも役に立ったことでしょう。

骨まで砕いて食べるティラノサウルス。3tという顎の力は車の屋根を易々と喰いちぎります。
ただし、ほとんどの研究者がティラノサウルスを日和見主義者と見ています。ここで言う日和見とは、現生の肉食動物も同様ですが、死体があればそれを食べ、死体が手に入らなければ狩りを行なって獲物を倒すという意味です。ライオンも食料の70%を死体や他の動物が倒した獲物を横取りする事で得ているといいますし、逆にハイエナはライオンよりも狩りで獲物を倒す事が多いそうです。死体か新鮮な肉か、どちらに重きを置いているか、と言うことです。
要するに、ティラノサウルスも運よく植物食恐竜の死体を見つける事ができればそれを食べ、どうしても腹が減ってしまった場合は頑張って狩りをしていたんじゃないかな、という事ですね。あるいは、群れで狩りをしたと言う説もあります。フィル・カリー博士が言うところには、若いティラノサウルスは早く走れるので、これらが獲物を牽制し、足止めをしているうちに大人が追い付いて止めを刺したのではないかと言います。ただ、現状では証拠がないので今後ティラノサウルスの群れや足跡化石が発見される事が期待されます。
参考文献:「大恐竜 T・レックス新発見」 ジョン・R・ホーナー/ドン・レッセム著 二見書房、Dino Press Vol.1 オーロラ・オーバル社、「恐竜2009-砂漠の奇跡」図録
多くの人がティラノサウルスに抱くイメージは強力な顎で獲物を捕らえる活発なハンターではないかと思います。実際のところ、化石からどの様に推測されているのか紹介します。
プレデターとは捕食者を意味し、自ら狩りをして獲物を捕らえる生物を指します。ティラノサウルスが狩りをしていた証拠と考えられるのは、噛む力が計算上約3tと陸生動物で最強、両目が前方を向いている為立体視が可能で獲物までの距離を正確に把握できる、巨体の割に足が長く比較的早く走れたと考えられる、等が挙げられます。実際、ティラノサウルスに噛みつかれたと思われる痕のあるエドモントサウルスやトリケラトプスの化石が発見されており、これらの傷は回復した痕が見られる為、襲われた後も生き延びたと考えられます。それはつまりティラノサウルスが生きた動物を襲った証拠に他ならないとされます。
対してスカベンジャーとは腐肉漁りを意味しており、現生動物だとハイエナとかハゲワシが相当します。こちらの説を支持する研究者は、前あしが小さすぎて暴れる獲物を押さえつけられない、走って転んだ場合に受け身が取れず頭部を強打すると死ぬ可能性がある、嗅覚を司る脳の嗅球という部分が非常に大きく嗅覚が優れていた為死体を発見しやすかった、等を根拠としています。

巨大なティラノサウルスの頭骨。プレデターでもスカベンジャーでも役に立ったことでしょう。

骨まで砕いて食べるティラノサウルス。3tという顎の力は車の屋根を易々と喰いちぎります。
ただし、ほとんどの研究者がティラノサウルスを日和見主義者と見ています。ここで言う日和見とは、現生の肉食動物も同様ですが、死体があればそれを食べ、死体が手に入らなければ狩りを行なって獲物を倒すという意味です。ライオンも食料の70%を死体や他の動物が倒した獲物を横取りする事で得ているといいますし、逆にハイエナはライオンよりも狩りで獲物を倒す事が多いそうです。死体か新鮮な肉か、どちらに重きを置いているか、と言うことです。
要するに、ティラノサウルスも運よく植物食恐竜の死体を見つける事ができればそれを食べ、どうしても腹が減ってしまった場合は頑張って狩りをしていたんじゃないかな、という事ですね。あるいは、群れで狩りをしたと言う説もあります。フィル・カリー博士が言うところには、若いティラノサウルスは早く走れるので、これらが獲物を牽制し、足止めをしているうちに大人が追い付いて止めを刺したのではないかと言います。ただ、現状では証拠がないので今後ティラノサウルスの群れや足跡化石が発見される事が期待されます。
参考文献:「大恐竜 T・レックス新発見」 ジョン・R・ホーナー/ドン・レッセム著 二見書房、Dino Press Vol.1 オーロラ・オーバル社、「恐竜2009-砂漠の奇跡」図録
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