アロサウルス上科について(3)_メトリアカントサウルス科_ヤンチュアノサウルス
- 2015/05/10
- 01:33
新種のニュースやらイベントレポやらで先延ばしてたシリーズ再開。
今回はメトリアカントサウルス科中、最も有名と思われるヤンチュアノサウルスについて。
▼ヤンチュアノサウルス・シャンヨウエンシス(Yangchuanosaurus shangyouensis)

1977年に中国、四川省の氷川区でダム建設中に発見され、1978年に董枝明(ドン・ジーミン)博士らにより記載されました。属名は広東省の陽春市に因み、種小名は発見地の氷川区に因んでいます。
非常に保存状態の良い頭骨、体骨格からなるCV00215に基づいて記載されましたが、この標本はまだ亜成体だった様です。ジュラ紀後期(オックスフォード期からキンメリッジ期)に生息していました。1983年には、より大型の標本CV00216に基づいてY.マグヌスが記載されています。
特徴としては、鼻面の2列のうね、高い神経棘突起が挙げられます。

2004年に幕張メッセで開催された「驚異の大恐竜博」で展示されたヤンチュアノサウルス・マグヌスのレプリカ。頭骨のデキが悪すぎて草生える。
グレゴリー・ポール博士はY.マグヌスは、Y.シャンヨウエンシスの成体であるとしました。2012年のM.カラーノ博士、R.ベンソン博士、S.サンプソン博士による系統解析でも、Y.マグヌスはやはりY.シャンヨウエンシスと同じものとされており、Y.マグヌスは無効名となっています。
グレゴリー・ポール博士はさらに、ヤンチュアノサウルスはメトリアカントサウルスと同じ属としましたが、これには賛同者がありません。
▼ヤンチュアノサウルス・ジゴンゲンシス(Yangchuanosaurus zigongensis)
元々はスゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシス(Szechuanosaurus zigongensis)とされていた恐竜です。属名としてのスゼチュアノサウルス(四川省のトカゲの意)は、1942年に4本の歯に基づき楊鐘健(ヤン・チュンチェン)博士によりスゼチュアノサウルス・カンピ(Szechuanosaurus campi)として記載されました。現在では種の特徴を表すには不十分として無効名とされています。
1978年にはヤンチュアノサウルス・シャンヨウエンシスと同じ地層から頸椎、胴椎、尾椎や肩甲骨等(CV00214)が発見され董枝名(ドン・ジーミン)博士によりS.ヤンドネンシスと非公式に名付けられましたが、1983年に董博士はこれをS.カンピに割り当てました。しかし、グレゴリー・ポール博士は、CV00214はヤンチュアノサウルス(メトリアカントサウルス)の一種であるとし、2012年のM.カラーノ博士、R.ベンソン博士、S.サンプソン博士による系統解析でもCV00214はヤンチュアノサウルス・シャンヨウエンシスのシノニムであるとしており、S.カンピは無効名となりました。
四川省自貢市大山舗で発見され1993年に自貢恐竜博物館の高玉輝(ガオ・ユーフィー)研究員により記載されたのがスゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシスです。S.ジゴンゲンシスはS.カンピよりも古い時代(シャクシミャオ累層下部、ジュラ紀中期バトン期頃か、約1億7500万年前~1億6900万年前くらい)から発見されています。

スゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシスのキャスト。FPDM所蔵。ちょいちょい見かける機会のある本種ですが、頭骨の作り物感がハンパないのが切ないですね。
約6mの中型肉食恐竜で、頭骨の一部、脊椎、肩甲骨から前脚、骨盤など(ZDM9011)が発見されており、前脚に4本目の指の痕跡がある事、頸椎の後方が凹んでいる事等が特徴とされます。
2012年のM.カラーノ博士、R.ベンソン博士、S.サンプソン博士による系統解析ではヤンチュアノサウルスと密接な関係があるとされ、ヤンチュアノサウルスの一種となりました。この為、現在ではスゼチュアノサウルスは全て無効名となってしまいました。
ヤンチュアノサウルスが生息していた地域では、シュノサウルスやオメイサウルスといった竜脚形類や、トゥオジアンゴサウルスなどの剣竜、アジリサウルスなどの鳥脚類が発見されており、これらを主食としていたと思われます。
参考文献:「肉食恐竜辞典」グレゴリー・ポール著 河出書房新社、「恐竜データブック」デヴィッド・ランバート&ダイアグラム・グループ著 大日本絵画、「驚異の大恐竜博 起源と進化~恐竜を科学する」図録、「ジュラ紀大恐竜展」図録
今回はメトリアカントサウルス科中、最も有名と思われるヤンチュアノサウルスについて。
▼ヤンチュアノサウルス・シャンヨウエンシス(Yangchuanosaurus shangyouensis)

1977年に中国、四川省の氷川区でダム建設中に発見され、1978年に董枝明(ドン・ジーミン)博士らにより記載されました。属名は広東省の陽春市に因み、種小名は発見地の氷川区に因んでいます。
非常に保存状態の良い頭骨、体骨格からなるCV00215に基づいて記載されましたが、この標本はまだ亜成体だった様です。ジュラ紀後期(オックスフォード期からキンメリッジ期)に生息していました。1983年には、より大型の標本CV00216に基づいてY.マグヌスが記載されています。
特徴としては、鼻面の2列のうね、高い神経棘突起が挙げられます。

2004年に幕張メッセで開催された「驚異の大恐竜博」で展示されたヤンチュアノサウルス・マグヌスのレプリカ。頭骨のデキが悪すぎて草生える。
グレゴリー・ポール博士はY.マグヌスは、Y.シャンヨウエンシスの成体であるとしました。2012年のM.カラーノ博士、R.ベンソン博士、S.サンプソン博士による系統解析でも、Y.マグヌスはやはりY.シャンヨウエンシスと同じものとされており、Y.マグヌスは無効名となっています。
グレゴリー・ポール博士はさらに、ヤンチュアノサウルスはメトリアカントサウルスと同じ属としましたが、これには賛同者がありません。
▼ヤンチュアノサウルス・ジゴンゲンシス(Yangchuanosaurus zigongensis)
元々はスゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシス(Szechuanosaurus zigongensis)とされていた恐竜です。属名としてのスゼチュアノサウルス(四川省のトカゲの意)は、1942年に4本の歯に基づき楊鐘健(ヤン・チュンチェン)博士によりスゼチュアノサウルス・カンピ(Szechuanosaurus campi)として記載されました。現在では種の特徴を表すには不十分として無効名とされています。
1978年にはヤンチュアノサウルス・シャンヨウエンシスと同じ地層から頸椎、胴椎、尾椎や肩甲骨等(CV00214)が発見され董枝名(ドン・ジーミン)博士によりS.ヤンドネンシスと非公式に名付けられましたが、1983年に董博士はこれをS.カンピに割り当てました。しかし、グレゴリー・ポール博士は、CV00214はヤンチュアノサウルス(メトリアカントサウルス)の一種であるとし、2012年のM.カラーノ博士、R.ベンソン博士、S.サンプソン博士による系統解析でもCV00214はヤンチュアノサウルス・シャンヨウエンシスのシノニムであるとしており、S.カンピは無効名となりました。
四川省自貢市大山舗で発見され1993年に自貢恐竜博物館の高玉輝(ガオ・ユーフィー)研究員により記載されたのがスゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシスです。S.ジゴンゲンシスはS.カンピよりも古い時代(シャクシミャオ累層下部、ジュラ紀中期バトン期頃か、約1億7500万年前~1億6900万年前くらい)から発見されています。

スゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシスのキャスト。FPDM所蔵。ちょいちょい見かける機会のある本種ですが、頭骨の作り物感がハンパないのが切ないですね。
約6mの中型肉食恐竜で、頭骨の一部、脊椎、肩甲骨から前脚、骨盤など(ZDM9011)が発見されており、前脚に4本目の指の痕跡がある事、頸椎の後方が凹んでいる事等が特徴とされます。
2012年のM.カラーノ博士、R.ベンソン博士、S.サンプソン博士による系統解析ではヤンチュアノサウルスと密接な関係があるとされ、ヤンチュアノサウルスの一種となりました。この為、現在ではスゼチュアノサウルスは全て無効名となってしまいました。
ヤンチュアノサウルスが生息していた地域では、シュノサウルスやオメイサウルスといった竜脚形類や、トゥオジアンゴサウルスなどの剣竜、アジリサウルスなどの鳥脚類が発見されており、これらを主食としていたと思われます。
参考文献:「肉食恐竜辞典」グレゴリー・ポール著 河出書房新社、「恐竜データブック」デヴィッド・ランバート&ダイアグラム・グループ著 大日本絵画、「驚異の大恐竜博 起源と進化~恐竜を科学する」図録、「ジュラ紀大恐竜展」図録
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