アロサウルス上科について(6)_アロサウルス科_サウロファガナクス

　サウロファガナクスは、1931年～1932年にオクラホマ州シマロン郡で採取された部分的な化石に基づき、ジャーナリストのグレース･E･レイ氏によって1941年にサウロファグス･マキシムス（Saurophagus maximus_「最大級の爬虫類を喰らう者」の意）と命名された恐竜です。

アロサウルス･フラジリスとの比較。上がサウロファガナクス。

　この標本は1995年にダニエル･チューレ博士によって再調査されました。含まれていた部位は頭骨の一部、頸椎、脊椎、骨盤、大腿骨、脛骨、中足骨、血道弓等です。この研究によると、脊椎の横突起の上にアロサウルスには無い薄い骨板が存在する事、血道弓の形状がアロサウルスと異なる事から、サウロファグスは有効な属であるとされました。


　しかし、サウロファグスという名前は1832年にタイランチョウ科のキバラオオタイランチョウとキバラタイランチョウいう鳥に使われていた(現在ではサウロファグスという名前は使用されていない様ですが…)事が判明した為、チューレ博士によりサウロファガナクス(Saurophaganax maximus_爬虫類を喰らう支配者の意)と改名されました。

　最大級のアロサウルスは12ｍに達すると言いますが、このアロサウルスは地表から寛骨臼(大腿骨が骨盤に嵌まり込む穴)までの高さが1942mmとされます。サウロファガナクスではこの高さが2512mmあり、チューレ博士は、サウロファガナクスは14m程あったのではないかと推定していますが、多くの研究者は体長10m～13m、体重3t程と考えている様です。1998年にはサウロファガナクスはアロサウルス･フラジリスとは異なるが、属を分ける程の差異はなく、A.マキシムスとするべきという意見も出されましたが、「THE DINOSURIA 2nd edition」によると有効な属とされています。

　2002年の「世界最大の恐竜博2002」で復元された全身骨格が展示されましたが、残念ながら実物は見ていません。図録の写真を見る限りだと、アロサウルスよりも、頭部が全長に占める割合が大きい様に見えます。以下、オタクの妄想ですが、もしもサウロファガナクスが大型の竜脚類を狩る為に進化した属だとすると、後のカルカロドントサウルス類の様に、アロサウルスよりも大型の頭部を持っていた可能性は高いと思います。また、アロサウルスよりも首は太く短くなって、より噛みつく力も強くなっていたんじゃないかなぁとか想像しています。上の想像図は、そんな妄想で勢いで描いたものですので、信用しないで下さいね。

参考文献：「恐竜学最前線7」学研、「最新恐竜学レポート」金子隆一著 洋泉社、「世界最大の恐竜博2002」図録、Chure, Daniel J. (1995). "A reassessment of the gigantic theropod Saurophagus maximus from the Morrison Formation (Upper Jurassic) of Oklahoma, USA". In A. Sun and Y. Wang (eds.). Sixth Symposium on Mesozoic Terrestrial Ecosystems and Biota, Short Papers. Beijing: China Ocean Press. pp. 103–106.